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2026.09.25(Fri)

30年来の隣人から毎年届くチョコ5箱。「もう結構です」と断っても終わらなかった贈り物

30年来の隣人から毎年届くチョコ5箱。「もう結構です」と断っても終わらなかった贈り物

二度断っても、贈り物は続いた

隣の家の奥さんは70代で、いつも身なりをきちんと整え、町内の行事にも欠かさず顔を出す人だ。

50代になった今も、私は20代のころから住む同じ家で妻と暮らしている。隣とはもう30年の付き合いになる。

付き合い始めたころから、奥さんは毎年2月14日になると、チョコレートの詰め合わせを5箱届けてくれた。

ただ、甘いものが苦手な私は、うれしいという気持ちより先に、お返しをどうしようという心配が浮かんでしまう。

毎年3月が近づくたび、何を返せばいいのか悩んでいた。

これまでに二度、もう贈り物は結構ですと伝えたことがある。最初は十年以上前。二度目は、その数年後の2月だった。

そのときも玄関先で、できるだけ角が立たないように切り出した。

「前にもお話ししましたけど、もう本当にお気遣いなく」

「いいのよ。私が好きでしてるんだから」

「でも、毎回いただいてばかりなのも気になりますし…」

「そんなの気にしなくていいの。お返しもいらないから」

そう言うと、奥さんは箱を私に渡し、いつもの笑顔で帰っていった。

これ以上どう断ればいいのだろう。玄関に立ったまま、私はしばらく箱を見つめていた。

呼び鈴が鳴らなくなった

それ以降、奥さんの言葉どおり、こちらからのお返しはやめた。

そうすれば、いずれ贈り物も終わるかもしれないと思っていた。

しかし、届く物は減らなかった。

夏には桃、秋には栗、暮れには手編みの鍋敷き。季節が変わるたび、何かしらの包みが届いた。

やがて平日の昼に届けられることも増え、私が出られないときには、玄関前の雨がかからない場所に包みだけが置かれるようになった。

ある日、仕事から帰ると、妻が紙袋を手にしていた。

「これ、またお隣から。玄関の前に置いてあったよ」

「そうか…。お礼、言いに行ったほうがいいかな」

妻は少し困ったように私を見た。

「気持ちはありがたいんだけどね。また気を遣わせちゃうんじゃない?」

「でも、もう二度断ってるんだけどな…」

「うん。悪気がないのは分かるから、余計に難しいよね」

窓の外を見ると、隣の縁側で奥さんが洗濯物を取り込んでいた。こちらに気づくと、いつものように小さく手を振ってくれた。

奥さんにお返しを催促されたことは一度もない。道で会えば、今も変わらず明るく声をかけてくれる。

だからこそ、強く拒むこともできなかった。

今年の2月14日の朝、ゴミを出そうと玄関を開けた。

足元には、きれいに包まれたチョコレートの箱が5つ、隙間なく並んでいた。

呼び鈴は鳴っていない。箱のリボンは、結び目がこちらを向くように整えられていた。

ありがたい気持ちがないわけではない。それでも、二度断っても届き続ける贈り物を前にすると、今年もまた、どう受け止めればいいのか分からなくなるのだった。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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