「今年はもう二束目だ」流れてくる落ち葉を毎年片づけた私。だが、台風の翌朝に見た光景
車庫の隅に増えていくごみ袋
毎年この季節になると、車庫の隅には口を縛ったごみ袋が並びました。
中に入っているのは、坂の上から雨水と一緒に流れてきた落ち葉やお菓子の包みです。
大雨が降ると、それらが車庫の前にある排水口の網に引っかかります。そのままにしておけないので、私は雨が弱まるたびに外へ出て、網につまったものを拾い集めていました。
その日も昼すぎに掃除を終えて戻ると、妻が車庫の袋を見ていました。
「この袋、また買ってきたの?」
「ああ。今年はもう二束目だよ。うちから出たごみなんて、ほとんど入ってないんだけどな」
妻は少し困った顔をしました。
「一度、上の家の人たちに話してみたら?」
「顔を合わせれば挨拶するしなあ。いきなり言うのも気まずくて」
雨が上がっても、坂の上から誰かが掃除に来ることはありませんでした。ただ、下でこんなことが起きているとは、そもそも気づいていないのかもしれません。
そう思って何年も自分で片づけてきましたが、多い日は1日に3回も網をさらうことがあります。さすがに、この先も一人で続けるのはきついと感じるようになりました。
写真を見た町内会長の反応
そこで私は、これまで撮っていた排水口の写真を持って町内会長さんに相談しました。
70代くらいの男性で、話を聞き終えると、実際に坂を下りて車庫まで見に来てくれました。隅に並んだ袋を見ると、会長さんは足を止めました。
「これ、全部ここで拾ったものですか?」
「そうです。雨が強い日は、何度掃除してもまた詰まるんです。ごみ袋も自分で買っているので、そろそろ大変で……」
会長さんは袋を見ながら、驚いたように言いました。
「何年も一人で片づけていたんですか」
私はうなずきました。
回覧板で決まった新しいルール
次の集まりで、会長さんは坂の上の家の人たちに写真を見せました。
写真を見た人たちは、思っていた以上に落ち葉が流れていることに驚いた様子でした。いちばん上の家のご主人も、写真を見つめながらつぶやきました。
「……うちの庭の葉っぱも、ここまで流れていたんですね」
ご主人は私に頭を下げました。
その後、回覧板には町内会で決めた新しいルールが書かれていました。
大雨の前には各家で庭の落ち葉やごみを片づけること。そして大雨のあとには、坂の上の家々で順番に排水口を確認し、必要なら掃除をすることになったのです。
次の台風が去った朝、車庫を開けると、すでに排水口の前に何人か集まっていました。
上の家のご主人たちが、ほうきとごみ袋を手に掃除をしていたのです。
「この袋は、こっちで持ち帰りますから」
そう言って、ご主人たちは集めた落ち葉の袋を持って坂を上っていきました。
それからは、以前のように車庫の隅に何袋ものごみ袋が並ぶことはなくなりました。
妻も車庫を見て、ほっとしたように笑いました。
「今年は、袋を何束も買わなくて済みそうね」
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














