「そんなの知らん、100円安かったはずだ」特売価格を譲らない男性が、持参した広告の日付を見て黙った瞬間
100円の差で止まったレジ
仕事帰りに立ち寄ったスーパーでのことです。私はレジの列の2番目に並んでいました。
前にいるのは60代くらいの男性で、20代くらいの女性店員が会計を担当していました。私の後ろにも何人か並んでいます。
店員が大きなしょうゆのボトルのバーコードを読み取ったとき、男性が画面をのぞき込みました。
「あれ?このしょうゆ、もっと安かっただろ。広告に載ってたやつだよ」
店員は値段を確認してから答えました。
「こちらは本日、通常のお値段になっております」
すると男性は、納得できない様子で声を大きくしました。
「昨日、家で広告を見たんだよ。安いと思ったから買いに来たんだ。それなのに、なんでこの値段なんだ」
「申し訳ございません。今は特売価格ではないようでして…」
「そんなの知らん、100円安かったはずだ」
男性は手のひらでレジ台をたたきました。
そして上着のポケットから折りたたんだ広告を取り出し、レジ台に広げたのです。
「ほら、ここに載ってるだろ!店員のくせに、自分の店の広告も知らないのか」
男性はしょうゆの写真を何度も指さしています。
店員は困った表情で謝りながら対応していましたが、男性は引き下がりません。
後ろの人が腕時計を見たり、隣のレジへ目を向けたりしています。
私も何か言いたかったのですが、結局、黙って見ていることしかできませんでした。
広告に書かれていた小さな日付
店員が呼び出しボタンを押すと、40代くらいの男性社員がやって来ました。
事情を聞いた社員は、レジ台に広げられた広告を確認します。
「お客様、こちらの広告ですね。少し確認させてください」
社員はしょうゆの写真の下にある、小さな文字を指さしました。
「こちらに日付が書いてあります。特売は昨日までだったようです」
「えっ……昨日まで?」
男性は広告に顔を近づけました。
そこには確かに、特売期間が昨日までであることが書かれていました。
先ほどまで大声を出していた男性は、しばらく黙ったまま広告を見つめています。
私の後ろにいた女性も、説明を聞いて小さくつぶやきました。
「あら、昨日までだったのね……」
男性は何も言い返さず、広告をくしゃくしゃに折りたたんでポケットにしまいました。
そのまま通常の値段で会計を済ませると、店員の顔も見ずに足早に出口へ向かっていきました。
社員は店員に顔を向け、落ち着いた声で言いました。
「説明は合っていたよ。ありがとう」
店員は小さくうなずきました。
社員が売り場へ戻ったあと、ようやく私の順番が来ました。
かごをレジ台に置くと、店員が少し赤くなった目で顔を上げました。
「大変お待たせしました」
その声は、まだ少し震えているように聞こえました。
広告を持ってきた男性も、本当に100円安いと思っていたのでしょう。ただ、日付を見落としたことと、店員に怒鳴っていいことは別です。
何も言い返せなかった男性の姿を思い出しながら、確認することの大切さを感じた出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














