「客を疑うのか、失礼だろう」何度補充しても消えるホテルのメロン…隣の夫婦のかばんを見た僕が係員へ伝えたこと
何度見ても空っぽだった果物の台
母の日と父の日のお祝いに、姉と2人で両親をホテルへ招いた朝。家族4人で、朝食バイキングのテーブルを囲んでいました。
気になったのは果物の台です。メロンもぶどうも、取りに行くたびにほとんど残っていません。
「メロン、またなかったわ。人気なのね」
母は少し残念そうに笑いました。僕も姉も、たまたま補充のタイミングが合わないだけだと思っていました。
ところがしばらくして、隣のテーブルに座る50代くらいの夫婦が目に入りました。
2人は交代で果物の台へ行き、メロンやぶどうを山盛りにした皿を何度も運んでいます。
「料金に入ってるんだ。持って帰らなきゃ損だろ」
夫のそんな声が聞こえました。
妻を見ると、大きなかばんの中から小さなビニール袋を取り出し、皿にのせた果物をそこへ移しています。そして口を閉じると、その袋をかばんの中へしまいました。
僕は思わず姉と顔を見合わせました。
「ちょっと、係の人に伝えてくる」
姉が小さくうなずいたので、僕は入口近くにいた係の女性のところへ行き、隣の夫婦が何度も果物を取り、袋に入れてかばんへしまっているのを見たと伝えました。
かばんを押さえた妻が黙ったとき
しばらくすると、制服姿の40代くらいの係の女性が夫婦のテーブルへ向かいました。
「お客様、恐れ入ります。こちらのお料理は、会場内でお召し上がりいただくようお願いしております」
夫は少し不満そうな顔をしました。
「果物くらいいいだろ。バイキングなんだから」
妻も、隣に置いたかばんを手で押さえます。
「客を疑うのか。失礼だろう」
夫も声を強めました。
それでも係の女性は声を荒らげず、落ち着いて続けます。
「中を拝見するつもりはございません。ただ、先ほどお取りになった果物を袋に入れていたとのお申し出がありました。お持ち帰りはご遠慮いただいておりますので、今お入れになった分はこちらへ出していただけますか」
妻はしばらく何も言いませんでした。
やがて観念したようにかばんを開け、中からビニール袋を取り出します。袋の中には、メロンやぶどうが思っていた以上に入っていました。
夫もそれ以上は何も言わず、目を伏せています。
係の女性は果物を受け取ると、その場を離れました。ほどなくして果物の台には新しいメロンやぶどうが補充されます。
夫婦は気まずそうに席を立ち、そのまま会場を出ていきました。
少しして、母がメロンを皿にのせて戻ってきました。
「今度は取れたわ。きれいなメロンね」
うれしそうに笑う母を見て、父も姉も笑顔になりました。
せっかくのお祝いの朝。最後は家族4人で、落ち着いて食事を楽しむことができました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














