「コンビニで買えるでしょ、18リットル」灯油を頼んだ私。30分後、彼が差し出した袋に入っていた思わぬもの
灯油を頼んだはずなのに、かみ合わない電話
20代のころ、冬のはじめの夜に起きた出来事です。
付き合って間もない彼が、仕事帰りに私のアパートへ寄ってくれることになっていました。
ところが、その日に限ってストーブの灯油が切れてしまったのです。
玄関の外に置いていた18リットルのポリタンクも空っぽ。
部屋はすっかり冷えきっていました。
どうしようかと考えていたところに、彼から電話がかかってきました。
「仕事終わったよ。コンビニ寄ってから行くけど、何かいる?」
私はちょうどいいと思い、お願いしました。
「あ、助かる!灯油がなくなっちゃって。買ってきてもらえる?」
すると、彼は少し驚いたような声を出しました。
「えっ、そんなにいるの?小さいのじゃダメ?」
小さいのとは何でしょう。私はポリタンク1個分を買ってきてもらうつもりでした。
「コンビニで買えるでしょ、18リットル」
帰り道のコンビニには、冬になると店先に灯油用のポリタンクが並んでいました。
私は、それを見て灯油も買えるものと思い込んでいたのです。
「じゅ、18リットル……?」
電話の向こうで、彼が絶句しているのが分かりました。
「うん。お願いできる?」
「……分かった。とりあえず探してみるよ」
ずいぶん大げさな反応だなと思いましたが、私はそのまま電話を切りました。
寒い中、わざわざ買ってきてくれる彼の優しさがうれしく、到着を楽しみにしていました。
彼が差し出した袋に入っていたもの
それから30分ほどして、呼び鈴が鳴りました。
ドアを開けると、紺色のダウンジャケットを着た彼が立っていました。
しかし、肝心のポリタンクが見当たりません。
代わりに彼が差し出したのは、コンビニの白い袋でした。
「ごめん。これしかなかった。棚にあったの、全部買ってきたんだけど…」
不思議に思いながら袋をのぞくと、そこには赤いふたの小さなびんが3本。
どう見ても、しょうゆです。
「……えっ?ちょっと待って。これ、しょうゆだよね?」
「うん。そうだけど?」
彼はきょとんとしています。
「私、灯油って言ったんだけど……」
「えっ!?しょうゆじゃなかったの!?」
彼は目を丸くしました。
「18リットルって言うからびっくりしたよ。そんなに何に使うんだろうって。店にも全然なくてさ…」
そこで、ようやく話がつながりました。
私の言った「とうゆ」が、彼には「しょうゆ」と聞こえていたのです。
彼が足元の空のポリタンクに気づき、私も思わず吹き出しました。
「だから小さいのでいいかって聞いたの!?」
「そうだよ!18リットルもしょうゆ買うなんて、どうかしてると思った!」
2人とも笑いが止まらず、しばらく玄関から動けませんでした。
結局、その夜は毛布を2枚重ね、しょうゆをたっぷり使った鍋を囲みました。灯油は翌日、私が自分で買いに行きました。
買ってきてくれたしょうゆ3本は、半年かけてようやく使いきりました。
最後の1本が空になったとき、彼がぽつりと言いました。
「あのとき、本当に18リットル買ってこなくてよかったね」
その一言に、また2人で笑ってしまいました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














