前に並んでる人にかごを当てる母親「行列なんだから早く進んで」→「謝ったほうがいいよ」と息子に怒られた結果
背中に何度も当たる買い物かご
1人旅の途中、評判のパン屋に立ち寄ったときのことです。
昼どきの店内は混み合っていて、パンが並ぶ棚の前には客の列ができていました。
通路は狭く、前の人がパンを選んでいるあいだは、後ろの人も待つしかありません。
私のすぐ後ろに並んだのは、買い物かごを持った40代くらいの母親でした。
その後ろには、中学生くらいの娘と息子が続いていました。
列が少し動くたび、母親のかごが私の腰に当たります。
最初は混んでいるから仕方ないと思っていましたが、一度や二度ではありません。
母親は何度も私の肩越しに前をのぞき込み、そのたびに大きくため息をついていました。
「なんでこんなに遅いの。バスに間に合わないじゃない」
後ろから息子が「まだ大丈夫だよ」と小さな声で言いましたが、母親は前ばかり気にしている様子でした。
そして、またかごが私の背中に当たった直後です。
「行列なんだから早く進んで」
今度は、はっきり私に向けられた言葉でした。
しかし、目の前にはまだパンを選んでいる客がいます。私だけが進める状況ではありません。
さすがに我慢できず、私は振り返りました。
「すみません。さっきから、かごが何度も背中に当たっているんです。前も詰まっているので、少し離してもらえますか」
すると母親は驚いたように目を見開きました。
「何なんですか!こっちは普通に並んでるんです!」
周囲の何人かがこちらを振り向き、私は思わず言葉に詰まりました。
母親の袖を引いた娘
そのとき、母親の後ろにいた娘がそっと袖を引きました。
「ママ、ずっと押してたよ。かご、お姉さんの腰に何回も当たってたもん」
母親が娘を見ると、息子も隣でうなずきました。
「うん、ぼくも見てた。謝ったほうがいいよ」
母親は何か言いかけましたが、そのまま黙りました。
後ろに並んでいた年配の女性からも、「早く進んでって言ってたの、あの人よね」と小さな声が聞こえました。
しばらくして、母親は私のほうを見ました。
「……すみませんでした」
そう言うと、かごを自分の体の前に抱え、一歩後ろへ下がりました。
それからレジに着くまで、かごが私に当たることはありませんでした。
会計を終えると、店員さんが「お待たせしました。こちら、さっき焼き上がったばかりです」と紙袋を渡してくれました。
店を出ようとしたとき、列に残っていた娘と目が合いました。娘は少し気まずそうな顔をしながら、小さく頭を下げました。
私も軽く会釈を返し、そのまま店をあとにしました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














