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2026.10.03(Sat)

「3000円になります」安いうなぎを選んだつもりの父。食卓でひと口食べた私に娘が笑った理由

「3000円になります」安いうなぎを選んだつもりの父。食卓でひと口食べた私に娘が笑った理由

値札も見ずに手に取った、うなぎのパック

今年の夏の夕方、60代の私は、30代の娘とスーパーへうなぎを買いに行きました。

土用の丑の日が近く、ひさしぶりに帰ってきた娘が「父さんと一緒にうなぎ食べたいな」と言ったのがきっかけです。

売り場には、国産と外国産のかば焼きが並んでいました。

値段を見ると、その差は3倍ほどあります。

若いころから財布のひもが固い私は、売り場に着く前から安いほうを買うつもりでした。

「せっかくだし、国産にしない?」

娘がそう言いましたが、私はすぐに首を振りました。

「いや、安いので十分だよ。食べたって、そんなに違いは分からないだろ」

そう言いながら、私は手前にあったパックをひとつつかんで、かごへ入れました。値札はまったく確認していませんでした。

「高いのは、名前にもお金を払ってるようなもんだよ」

娘はかごの中をちらりと見ました。そして何か言いかけたようでしたが、そのまま黙りました。

私は気にも留めず、レジへ向かいました。

レジで聞こえた「3000円になります」

レジでは、20代くらいの女性店員が手ぎわよく商品を読み取っていました。

私は安いうなぎを選んだつもりで、浮いた分で明日の朝のパンでも買おうかと考えていました。

ところが、店員さんの口から聞こえてきたのは、思いもしない金額でした。

「3000円になります」

一瞬、聞き間違いかと思いました。

店員さんの手元にあるパックを見ると、ラベルには「国産」の文字。安いほうを取ったつもりが、私がつかんだのは高いほうだったのです。

「あの…」

取り消してもらおうとして、そこまで言いかけました。

けれど、ふと振り返ると、うしろには3人ほど客が並んでいます。横を見ると、娘も黙って私の顔を見ていました。

さっきまで「違いなんて分からない」と言い切っていた手前、急に恥ずかしくなりました。

「…はい」

結局、それ以上は何も言えず、そのまま財布からお札を出しました。

帰り道、娘は買い物袋を提げながら、何度も笑いをこらえていました。

「お父さん、『違いなんて分からない』って言ってたよね」

「まあ…たまにはいいだろ」

私がそう返すと、娘はとうとう声を出して笑いました。

ひと口食べた私を見て、娘が笑った

その夜、温めたうなぎを食卓に出しました。思えば、国産のうなぎを食べるのは初めてです。

ひと口食べたところで、思わず箸が止まりました。

皮は香ばしく、身はふっくらしています。これまで食べてきたうなぎとは、ずいぶん違って感じました。

そんな私を見て、娘がにやりとしました。

「どう?国産のお味は」

私は何も答えず、もうひと口食べました。

すると娘が、私の顔を見ながら笑います。

「お父さん、安いほうだったら、そんな顔してないよね」

返す言葉がありませんでした。

あれ以来、うなぎ売り場では値札をひとつずつ確認するようになりました。そして確認したうえで、今では迷わず高いほうを手に取っています。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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