「なくなったら、また出てくるでしょ」バイキングでベーコンを山盛りにする男性。だが、料理長に止められた瞬間
料理を山盛りにして、また列の前へ
数年前、家族旅行でホテルに泊まったときのことです。
40代の私は朝7時半ごろ、夫に席を任せ、小学生の子どもと一緒に朝食バイキングの列へ並びました。
温かい料理の前には20人近くが並んでいました。
その先頭付近にいたのが、50代くらいの男性です。
男性はベーコンとウインナーを皿いっぱいに取ると、いったん自分の席へ戻りました。
ところが少しすると、列の最後尾には並ばず、また料理台の前へ入ってきたのです。
男性のすぐ後ろにいた女性が、困ったように声をかけました。
「すみません。後ろにも並んでいるので、少し残してもらえませんか」
男性は振り返りましたが、トングを置こうとはしません。
「なくなったら、また出てくるでしょ」
そう言ってさらに料理を取り、そのまま席へ戻っていきました。
見ると、男性の席にはベーコンやウインナーを山盛りにした皿が3枚並んでいました。
「ウインナー、もうないね」
子どもが小さな声で言いました。料理台には油の跡が残るだけで、私たちは補充を待つしかありませんでした。
焼きたての大皿へ伸びたトング
しばらくすると、男性がまた席を立ち、列の前へやってきました。空になった料理台を見ると、近くのスタッフへ声をかけます。
「まだ?ベーコンとウインナー、早く出してよ」
「申し訳ございません。少々お待ちください」
スタッフが厨房へ戻ってから少しして、60代くらいの料理長らしき人が焼きたてのベーコンとウインナーを盛った大皿を運んできました。
料理長が大皿を置いた瞬間、男性がトングへ手を伸ばします。
すると料理長は手のひらを向け、穏やかな声で止めました。
「お待ちください。こちらは、後ろでお待ちのお客様からどうぞ」
男性は眉をひそめました。
「俺もずっと待ってるんだけど」
料理長は表情を変えずに答えます。
「存じております。一度お席へ戻られていますので、もう一度お取りになる場合は、列の最後尾からお願いいたします」
男性はトングを持ったまま黙りました。
その横を、先ほど声をかけた女性が小さく会釈して進み、並んでいた人たちも順番に料理を取っていきます。
私たちの番になると、子どもはウインナーを2本取って、うれしそうに皿を見せました。
「見て、焼きたて2本取れた」
男性は何も言わずにトングを戻し、自分の席へ戻っていきました。そこには、先ほど運んだ3枚の皿がそのまま並んでいました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














