「呼んでもらえればすぐ動かしますから」5年間、家の前に車を停め続けた近所の男性。私が市役所で知った事実とは
家を出る前に、まず道の先を見る
朝、車で出かける日は、玄関を出るとまず道の先を確認していました。
袋小路のいちばん奥がわが家で、門の前から大通りまでは車一台が通れるほどの細い道です。そこに白い車が停まっていると、うちの車は外へ出られません。
持ち主は、大通り側にある家の息子さんでした。
そんな日は、その家のインターホンを押します。少しすると息子さんが出てきて、いつも同じように言いました。
「すみません。呼んでもらえればすぐ動かしますから」
「お願いします」
声をかければ車は動かしてくれます。怒られたり、言い争いになったりしたこともありません。
ただ、数日たつとまた同じ場所に停まっているのです。
親御さんが車を見かけても、その場で何か言う様子はありませんでした。町内会では普通に世間話をする間柄だったこともあり、私も大きな問題にはしたくなくて、そのたびに呼びに行っていました。
気づけば、それが5年ほど続いていました。
ずっと、向こうの私道だと思っていた
ある日、回覧板を届けた帰りに、ふと疑問が浮かびました。
私はずっと、あの細い道は大通り側の家が持っている私道なのだと思い込んでいました。
もしそうなら、こちらが強く言うのも違う気がします。
でも、本当にそうなのでしょうか。
気になって、市役所の道路を担当する窓口へ行きました。
家の場所を伝え、道の位置を確認してもらうと、職員の方が資料を見ながら答えました。
「ここは市が管理している道路ですね。私道ではありません」
「えっ…ずっと、あちらの家の道だと思っていました」
「細い道だと、そう思われることもありますよ」
驚きました。
さらに、車が停まっていると自宅から出られないことを話すと、駐車について困っている場合は警察へ相談する方法があると教えてもらいました。
感情ではなく、停まっていた日時を残した
その日から、玄関の靴箱の上に小さなメモ帳を置きました。
車が停まっていた日と時間だけを書きます。
「まただ」「迷惑だ」といった感想は書かず、いつからいつまで通れなかったのかだけを残しました。
何度か記録がたまったところで、近くの警察へ相談しました。
「声をかければ動かしてはくれるんですが、もう何年も同じ状態が続いていて…。
車があると、うちから出られないんです」
記録していた日時と場所を伝え、道路の状況も説明しました。
その後もしばらく様子を見ていましたが、ある日を境に、白い車は道に停まらなくなりました。
しばらくして親御さんと顔を合わせたとき、「道路のことで警察の方から話があったみたいで」と聞きました。
息子さん本人から何か言われたわけではありません。それでも、その日以降は帰省してきたときも、車を道ではなく別の場所に停めるようになりました。
今では、朝に玄関を出ても、そのまま車を出せるのが当たり前になっています。
5年間、私は「向こうの道だから仕方がない」と思い込んでいました。腹を立て続ける前に、一度きちんと確認してみる。あのとき市役所へ行ったことで、ようやく長く続いていた状況を変えるきっかけができました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














