「ずっと、嫌でした」私に恋心を持っていた男。だが、帰り道で待たれ続けた私が本音を伝えた結果
「一緒に帰ろう」が、だんだん怖くなった
中学に入ってすぐ、私は二学年上の先輩二人と親しくなった。
習い事が同じで、練習の行き帰りもよく一緒だった。
そのせいか、ほかの上級生にも顔を覚えられていたらしい。
その中に、廊下ですれ違うと必ずこちらを見る人がいた。
ある日、家が近所だと本人から聞いた。それから、下校時間になると駐輪場で顔を合わせることが増えた。
「あ、やっと来た。一緒に帰ろうよ」
「すみません、今日は友達と帰るので」
「じゃあ途中まででいいじゃん。方向、同じでしょ?」
笑いながら言われると、それ以上強く断れなかった。
嫌なのに、「嫌です」の一言がどうしても出てこない。怒られたわけでも、腕をつかまれたわけでもない。それでも駐輪場に近づくたび、今日はいるだろうかと先に確認する癖がついた。
中学三年の夏になると、塾の近くでもその人を見かけるようになった。
「今日も遅かったね」
「…先輩、どうしてここにいるんですか」
「別に。たまたま近くにいただけ」
そう言われると、それ以上聞けなかった。
私は「気にしすぎなのかもしれない」と自分に言い聞かせながら、自転車のペダルをいつもより強く踏んで帰った。
「怖かった」と言って、ようやく終わった
高校に入ってから、私は近所の店でアルバイトを始めた。
しばらくすると、帰りに店の近くでその人を見かける日が何度か続いた。
ある夜、店を出ると自転車置き場のそばに立っていた。
「お疲れ。待ってた」
「…どうしたんですか」
「どうしたって。迎えに来たんだけど」
私が黙っていると、その人は少し笑った。
「もう分かってると思ってた。俺、ずっと好きだったんだよ」
その瞬間、胸の奥にためていたものが一気にせり上がった。
「ごめんなさい。私、そういうふうに思ったことないです」
「え?」
「一緒に帰ろうって言われるのも…ずっと、嫌でした」
そこまで言うのが精いっぱいだった。
家に帰ってから、中学時代に親しくしていた先輩二人へ電話をした。話し始めると、自分でも驚くほど声が震えた。
「ずっと言えなかったんですけど…3年近く、帰るところで待たれてて」
「そんな?」
「はい。私がちゃんと断らなかったから、向こうは嫌だって分かってなかったのかもしれません。でも、もう一人では言えないです」
先輩は少し黙ったあと、声を落とした。
「分かった。今度話すなら、一人で行くな。俺たちも一緒にいるから」
後日、先輩二人にも付き添ってもらい、私はもう一度本人に伝えた。
「前はちゃんと言えなくてすみません。でも、本当に怖かったです。もう待たないでください」
その人はしばらく黙っていた。
「…そんなに嫌だった?」
「はい」
私が答えると、横にいた先輩が静かに言った。
「本人がここまで言ってるんだから、もうやめよう」
「…分かった」
その人はそれ以上何も言わず、自転車に乗って帰っていった。
それから、店の近くで待たれることはなくなった。
数日後、先輩から「その後、大丈夫?」と電話が来た。
「はい。今のところ、一度も来てないです」
そう答えたとき、やっと自分の帰り道が戻ってきた気がした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














