「いやいや、すごい腹だなと思ってさ」知らない男性に突然触られた僕。だが、隣の女性の一言で態度が一変
上の階で待ち合わせ、1階のレストランへ向かった
夏の昼下がり、駅前のビルで知人の女性と待ち合わせた。
半年ぶりに会う相手だったので、少し買い物をしてから、1階にあるレストランで食事をすることにしていた。
エレベーターに乗ると、すでに年配の男女が奥に立っていた。
私たちが入って4人になる。
私は扉の横に立ち、知人と小声で「混んでなければいいですね」などと話していた。
そのとき、奥にいた男性が私のほうをじっと見た。
「いやあ、立派だなあ」
何のことだろうと思った直後だった。
男性が急に手を伸ばし、上着の上から私のお腹をぽんぽんと触ったのだ。
「えっ…ちょっと、やめてください」
思わず身を引いたが、すぐ後ろは壁だった。
突然すぎて、それ以上の言葉が出てこない。
知人も「え…?」と声を漏らしたまま固まっていた。
男性は悪びれる様子もなく、笑いながら言った。
「いやいや、すごい腹だなと思ってさ」
冗談のつもりだったのかもしれない。ただ、知らない人に突然体を触られたこちらとしては、笑えるはずもなかった。
「何してるの。嫌がってるでしょう」
その空気を変えたのは、男性と一緒にいた女性だった。
「ちょっと!何してるの」
鋭い声と同時に、女性が男性の腕を引いた。
男性はきょとんとしている。
「何って、別に。ちょっと触っただけだよ」
「ちょっとじゃないでしょう。知らない人よ」
「悪気なんかないって」
「悪気があるかどうかじゃないの。嫌がってるでしょう」
女性の声には、本気で腹を立てているのが分かった。
男性はまだ納得していないような顔をしていたが、女性は私を一度見てから、もう一度男性に言った。
「ほら。ちゃんと謝りなさい」
男性は少し黙ったあと、私のほうを向いた。
「…悪かったね」
女性がすぐに横から言う。
「『悪かったね』じゃないでしょう」
男性は困ったように息を吐き、今度は少し頭を下げた。
「すみませんでした」
「…はい」
私も、それしか返せなかった。
ちょうどそこで1階に着き、扉が開いた。
女性は降りる前にこちらを振り返り、「本当にすみません」と頭を下げた。男性はその横で黙ったままだった。
二人がロビーへ出ていってから、知人がようやく私の顔をのぞき込んだ。
「大丈夫ですか?びっくりしましたよね…」
「うん。何が起きたのか、まだよく分からないです」
そう答えると、知人も小さく息を吐いた。
「私も止めなきゃと思ったのに、固まっちゃいました」
「いや、あれは固まりますよ」
二人でそんなことを話しながら、予定していたレストランへ向かった。
男性がなぜあんなことをしたのかは、今でも分からない。
ただ、あの狭い箱の中で何も言えなくなっていた私にとって、連れの女性がすぐに「嫌がっているでしょう」と言ってくれたことだけは、今もよく覚えている。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














