「レジの袋が小さい、入れ直せよ」一番大きな紙袋だと説明しても納得しなかった客。だが、店長の一言で態度が一変
贈り物だから、きれいに持って帰りたい
学生のころ、洋菓子店でアルバイトをしていました。
店では商品の大きさに合わせて三種類の紙袋を使い分けていました。大きな化粧箱を購入された場合は、一番大きな紙袋に入れるのが決まりです。
ある休日の午後、手土産用のお菓子を買った男性のお客様がレジに来ました。
箱を包装し、一番大きな紙袋へ入れてお渡ししようとすると、男性が袋を見て眉をひそめました。
「これ、袋が小さくないか?」
確かに、箱と比べて必要以上に余裕のある袋ではありません。ただ、箱はきちんと底まで入り、持ち手にも十分な余裕があります。
「贈り物なんだからさ。こんなギリギリの袋じゃなくて、もっと大きいのにしてよ」
人に渡すものだから、見た目まで気になるのだろうと思いました。その気持ちは分かります。
しかし、その店にこれ以上大きな紙袋はありませんでした。
「レジの袋が小さい、入れ直せよ」
「申し訳ございません。こちらが当店で一番大きな紙袋になります」
そう説明すると、男性の表情が険しくなりました。
「いや、小さいだろ。レジの袋が小さい、入れ直せよ」
私はもう一度、箱が袋の底にきちんと収まっていることを確認しました。
「こちらの箱は、この紙袋に入れてお渡しすることになっております。箱も傾いておりませんので、このままお持ちいただけます」
「そんな店の都合は知らないよ。客が大きいのにしてくれって言ってるんだから、出せばいいだろ」
後ろには数人のお客様が並んでいました。視線を感じて焦りましたが、ないものを出すことはできません。
「申し訳ございません。これ以上大きなサイズはご用意がないんです」
男性は紙袋を指さしたまま、しばらく動きませんでした。
店長が持ってきたもの
やり取りに気づいた店長が、レジまで来ました。
事情を聞くと、店長は同じ大きさの新品の紙袋を一枚持ってきて、男性の前で広げました。
「こちらが当店で一番大きなサイズです。現在お入れしているものと同じになります」
そして、私が包んだ商品を見て続けました。
「箱も正しい向きで収まっていますので、この状態で問題ございません」
男性は二つの紙袋を見比べました。
さっきまで強い口調だったのに、少し間を置いてから、
「……じゃあ、それでいい」
とだけ言いました。
紙袋を受け取ると、そのまま店を出ていきました。
店長は男性を追うこともなく、次のお客様を案内してから私に小さな声で言いました。
「ちゃんと説明できていたから大丈夫。ないサイズまで用意する必要はないよ」
贈り物をきれいな状態で持ち帰りたいという気持ちは理解できます。ただ、希望どおりにならないからといって、店員に強い言葉をぶつけても、用意されていないものが出てくるわけではありません。
あの日以来、できないことを伝えるのも接客の一つなのだと思うようになりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














