「ここ俺らの庭っすよ」共用の駐車場でBBQをする大学生。だが、大家の一喝で態度が一変
駐車場を自分の庭と言い張る新入居者
引っ越してきたばかりの春だった。夜の九時をまわると、決まって駐車場から炭の匂いと騒ぎ声が上がるようになった。
向かいに入居した大学生のグループが、毎晩のようにバーベキューを開いていたのだ。
薄い窓ガラス越しに、笑い声も焼ける音も筒抜けだった。寝かしつけたばかりの子どもは、その物音のたびに目を覚まして泣き出す。
数日続いても収まる気配はなく、私は毎晩のように寝室と子ども部屋を往復していた。
その夜も、ようやく眠った子どもがまた泣いて起きてしまった。私は思いきって外へ出て、火を囲む彼らに声をかけた。
共用の駐車場で火を使うのはやめてほしいと。すると一人が、面倒くさそうに言い放った。
「ここ俺らの庭っすよ」
悪びれる様子もない。周りの学生も、へらへらと笑うだけだった。女の私が一人で頼んでも、痛くもかゆくもないという顔をしていた。
言い返す言葉を探しても出てこない。悔しさを抱えたまま、私はいったん部屋へ戻った。
大家の一言で笑った顔が青ざめた
翌日、感情的にならないよう気をつけながら、管理会社と大家さんへ順を追って相談した。
夜間の騒音、共用部での火気、注意しても改善しない経緯を、日付とともにメモにして渡した。ただ「うるさい」と訴えるより、事実を並べたほうが伝わると思ったからだ。
その週末、大家さんが直接彼らの部屋を訪ねた。私も少し離れた場所で立ち会った。
「契約違反です、やめないなら退去も考えます」
大家さんが静かにそう告げた瞬間、「庭っすよ」と笑っていた青年の顔から、すっと血の気が引いた。何か言おうと口を開きかけ、そのまま黙り込む。
そこへ隣の部屋の年配の男性も出てきて、静かに続けた。
「実はうちも、毎晩眠れなくてね」
逃げ場をなくした学生たちは、うつむいたまま何も言えなくなった。翌週にはコンロも椅子も片付けられ、駐車場からあの匂いは消えた。
それ以来、バーベキューは一度も開かれていない。すれ違うと、あれほど強気だった彼らが先に道を空け、小さく頭を下げてくるようになった。夜の静けさが戻った部屋で、私はようやく子どもの寝顔を安心して眺められるようになった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














