tend Editorial Team

2026.07.08(Wed)

「もう十分、耐えたでしょう」20年墓も仏壇も守った母が畳むと決意→介護丸投げの親戚が黙った日

「もう十分、耐えたでしょう」20年墓も仏壇も守った母が畳むと決意→介護丸投げの親戚が黙った日

母がひとりで背負った墓と仏壇

物心ついた頃から、我が家には「本家」という重たい役目がのしかかっていた。

末っ子の父が祖父母と同居してその介護を担い、家やお墓、仏壇のすべてを引き受けていた。

上の伯父と伯母は遠方に暮らし、世話はいっさい父と母任せだった。

それでいて、伯父夫婦の口だけは達者だった。

年に一度顔を出しては、介護のやり方に注文をつける。

「兄の言う通りにすればいいんだ」

そう言って、父を子ども扱いする。

手を貸すわけでもないのに、指図だけは一丁前だった。

祖父母を見送ったあとも、母の負担は減らなかった。

遺産は等分だったのに、お墓の掃除も、仏壇のお供えも、法事の段取りも、ぜんぶ母の肩にかかったままだった。

盆や彼岸のたびに、母は朝から墓地へ通い、花を替え、草をむしった。

伯父夫婦は手ぶらで来て、手を合わせて帰るだけ。

子どもの私は、母のそんな背中をずっと見て育った。愚痴ひとつこぼさず役目を果たす母が、少しずつすり減っていくのが分かった。

畳むと決めた母の、晴れやかな顔

伯父夫婦も歳を取り、いつしかアポなしの訪問も減っていった。

潮目が変わったのを、母は見逃さなかった。

ある晩、母は父の前に座って、静かに切り出した。

「もう十分、耐えたでしょう」

「このお墓も仏壇も、私たちの代でちゃんと畳みましょう。次の世代に、この重たい役目を渡したくないの」

その決意を聞いて、私は思わず母の手を取った。

「お母さん、それでいいと思う」

母は少し驚いた顔をしてから、ふっと肩の力を抜いた。

「あなたにそう言ってもらえて、やっと踏ん切りがついたわ」

長いあいだためらっていた父も、その言葉にうなずいた。二人はお寺に相談し、きちんと供養を済ませて、去年、墓じまいと仏壇じまいを終えた。

あとから知った伯父夫婦は、案の定、電話口で騒ぎ立てた。

「相談もなしに、勝手なことを」

けれど母は、もう動じなかった。受話器を替わり、落ち着いた声で言い返した。

「二十年、掃除もお供えも私たちがやってきました。お義兄さんは一度も、手を貸してくれませんでしたよね」

受話器の向こうが、ぐっと詰まる。返す言葉が見つからないまま、伯父夫婦はそれきり黙ってしまった。

あれほど「兄の言う通りに」と繰り返していた伯父が、ひとことも返せない。長年の勝手が、初めて母の前で通用しなかった瞬間だった。

電話を終えた母の顔は、驚くほど晴れやかだった。

「ずっと胸につかえていたものが、やっと下りたわ」

それからの母は、まるで別人のようだった。庭いじりを始め、友達と旅行に出かけ、よく笑うようになった。長い役目からようやく解き放たれた母は、今がいちばん、いきいきしている。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.07.08(Wed)

「靴脱いで一杯やらせてもらうわ」結婚式で失礼な態度をとる義母。だが、夫が突きつけた現実で状況が一変
tend Editorial Team

NEW 2026.07.08(Wed)

「男の人なのに、家事を手伝って偉いわねえ」父だけ褒め続ける親戚。だが、娘の言葉に救われた瞬間
tend Editorial Team

NEW 2026.07.08(Wed)

マクドナルドと森永製菓が再びタッグ!「2つのM」が仕掛ける夏の新作コラボにネット上では早くも予想合戦が白熱中
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.05.11(Mon)

「こういうものだから」誰も命じないのに台所へ吸い込まれていく女性陣→夫に伝えても変わらなかった一日
tend Editorial Team

2026.06.03(Wed)

「不安要素しかない」「いちばんの原因なんて税金です」とSNSで物議。GACKT、日本の出生数減少に言及
tend Editorial Team

2026.04.30(Thu)

「今から探すの!?」長蛇の列でポイントカードを漁る客。周囲のイライラを吹き飛ばした、店員さんの痛快な対応
tend Editorial Team