「気にしないで、うちの孫だし」孫の祝いの席でお金を全部出した義両親。だが、両親と私が感じた違和感とは
恐縮しきった母からの連絡
お宮参りの帰り道、私の母から一通のメッセージが届いた。
「食事代を出してもらったから、何かお返ししたいんだけど」
文面から、母が恐縮しきっているのが伝わってきた。
その日、料亭での会計を持ってくれたのは義母だった。
両家を招いた私たち夫婦が払うつもりだったのに、席を立った瞬間に伝票をさらわれてしまったのだ。
片方の親だけがお金を出す。
ただそれだけのことで、うちの両親はすっかり気を遣っていた。
実際、その場でもご祝儀袋を差し出しながら、何度も頭を下げていた。
「せっかくのお祝いなのに、こちらこそ何もできなくて」
義母は「いいのよ、気にしないで」と笑っていたけれど、その笑顔の裏で、うちの両親だけが小さくなっていく。
せっかくの晴れの日に、片方の家がずっと恐縮している。その構図が、私にはどうしても気になった。
その姿を思い出すと、私の胸はざわついた。
「うちの孫だし」の一言
私は夫に、両親が気にしていることを打ち明けた。
「食事代はうちも出したことにしたいの。そうすれば、私の親も肩の荷が下りるから」
夫はすぐに動いてくれて、その晩、義母へ電話をかけた。けれど義母は、あっけらかんとこう返した。
「気にしないで、うちの孫だし」
悪気のない口ぶりだった。
でも私は、受話器の横で小さく息を止めた。
(うちの孫、って……。私の父も母も、同じ気持ちで抱っこしていたのに)
孫という言葉が、片方の家だけのものみたいに聞こえて、なんだか寂しかった。
夫が払い直した理由
そのとき、夫が静かに、でも譲らない声で言った。
「妻の親が気を遣うよ」
夫はそう言って、続けた。
「片方だけが出したら、対等じゃなくなる。だから食事代は、俺たちが払い直すから」
電話の向こうの義母が、言葉に詰まったのが分かった。
「そんな、水くさいこと言わなくても」
「水くさくないよ。両家そろって祝った日なんだから、どっちの親にも同じように気持ちよくいてほしいんだ」
義母はしばらく黙り込んだあと、ふうと息をついた。
「……あなたがそう言うなら、分かったわ」と、渋々ながらうなずいた。
翌朝、私は自分の両親に電話をかけた。
「食事代はうちで払ったから、お祝いはありがたく受け取ったよ」
そう伝えると、母の声が一段明るくなった。
「よかった。これで気兼ねなくお祝いできるわ、」
お金の流れが整理されただけなのに、両家の間にあった見えない段差が、すっと消えた気がした。夫が引き直してくれた線のおかげで、私の親も義母も、同じ高さで孫を見つめられるようになった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














