「小銭がないから立て替えて」ランチ会で毎回踏み倒すママ友。 だが、突然清算を迫られ青ざめた瞬間
返ってこない立て替え
月に一度、幼稚園のママ友たちで開くランチ会。おしゃべりも料理も楽しみで、私にとって大切な息抜きだった。ただ、会計のたびに、決まって同じ場面が繰り返される。
財布を開いたママの一人が、困った顔をしてこう切り出すのだ。
「小銭がないから立て替えて」
あるいは、財布を忘れた、お札しか入っていない。言い訳は毎回変わったが、結果はいつも一緒だった。
誰かが彼女の分を払い、そのお金が戻ってきたためしはない。
「後で振り込むね」と言ったきり、その振り込みが実行されたことは一度もなかった。
最初はうっかりだと思っていた。けれど何度も続けば、わざととしか思えなくなる。彼女は、払わずに済ませる術を心得ているのだ。
「またか」と思いつつ、みんな角を立てたくなくて、言い出せずにいた。私も、その一人だった。
静かな反撃
けれど、我慢にも限界がある。ある日のランチ会の前、私たちはこっそり相談していた。
次に「立て替えて」と言われたら、もう応じないでおこう、と。
その日は、少し値の張るレストランだった。案の定、会計の段になって、彼女はいつもの調子で口を開いた。
「小銭がないから立て替えて」
私は落ち着いて、店員さんを呼んだ。
「お会計、別々でお願いします」
一人ずつ、自分の分を払っていく。彼女の表情が、みるみるこわばった。そこへ、一人のママが静かにメモを差し出す。
「これまで立て替えた分、合計で4500円ね」
いつ、どこで、いくら。几帳面に書き留められた記録だった。
その場が、しんと静まり返る。周りのママたちは、彼女がどう出るかをじっと見守っていた。
彼女の顔から血の気が引き、青ざめていく。何か言おうと口を開きかけて、そのまま黙り込んだ。震える指で財布を探り、渋々とお札を並べるほかなかった。
ほかのママたちも、静かにうなずいていた。「私も何度も立て替えたよね」と一人がつぶやくと、別の一人も「うちも」と続く。四方から向けられる視線に、彼女はいたたまれない様子で顔を伏せた。
「……ごめん、返すつもりだったの」
小さな声だったが、誰も責めはしない。ただ、静かにうなずくだけだった。
その日を境に、彼女はランチ会に姿を見せなくなった。人を軽く見て甘えていた相手が、自分の振る舞いを突きつけられて去っていく。会計のたびに沈んでいたあの空気は、もうどこにもなかった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














