「あの車、危険すぎる」横断歩道でスレスレを抜けた運転手。だが、運転手に待っていた自業自得の結末とは
風圧で鞄が揺れた瞬間
通勤の途中、青信号を確認して横断歩道を渡り始めた矢先のことだった。
右手から突然、爆音が迫ってきた。赤い乗用車が、私の体すれすれを猛スピードで通り過ぎていく。鞄が風圧で大きく揺れた。
「あの車、危険すぎる」
思わず声が漏れた。一歩踏み出すのが早ければ、巻き込まれていたかもしれない。膝が小刻みに震えていた。
もし信号が変わるのを待たず、いつものように少し急いで渡っていたら。想像するだけで、背筋が冷たくなった。
横断歩道には、私のほかにも数人が渡ろうとしていた。誰もが動きを止め、走り去る車を目で追っている。
「信号、赤だったよね」
「完全に無視して突っ込んでいったわね」
近くにいた買い物帰りらしい女性が、呆れたように声を上げた。
「ああいう車、いつか大きな事故を起こすわよ」
周りの人たちも口々に、走り去った車への怒りを漏らしていた。けれど、できることは何もない。信号はまだ青なのに、誰も足を踏み出せずにいた。
追いかけていった白い影
やり場のない怒りを飲み込んだ、その直後だった。背後から、サイレンの音が一気に大きくなった。
白バイだった。
後方の信号で待機していたらしく、赤い車を追って目の前を駆け抜けていく。あの暴走から、ほんの3秒ほどだった。
少し先で、赤い車は路肩に停められた。窓から顔を出した運転手が、何かを訴えるように口を動かしている。
「かなりのスピードでしたね。横断中の方もいましたよ」
警官の落ち着いた声に、運転手はもう反論できずにいた。さっきまで強気に何かを言い返していたのに、みるみる声を失っていく。
最後には、免許証を差し出す手が小さく震えているように見えた。肩を落とし、うつむいたまま指示に従っている。
その一部始終を、横断歩道に残された人たちがじっと見ていた。誰からともなく、安堵のため息が漏れる。
渡りきった歩道で、先ほどの女性がこちらを見て小さくうなずいた。
「見ていてくれる人がいるものね」
「ええ。あれで無事に済んでいたら、悔しくて仕方なかったです」
信号を渡りながら振り返ると、路肩の車はまだ警官に囲まれたままだった。危険を撒き散らした側が、逃げも隠れもできずにいる。
震えていた膝が、いつの間にか落ち着いていた。危険を撒き散らした車が、その場ですぐ報いを受けた。それだけで、朝の空気が少し晴れやかに感じられた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














