「なんでこんなに高いの。もう少し安くならない?」来店された夫婦の質問。だが、確認した金額を伝えると、奥さんが思わず笑った理由
値段のことを聞かれ、私は奥へ確認に行った
写真の現像を扱う店で、アルバイトをしていたころのことです。フィルムを預かって、仕上がった写真をお渡しするのが主な仕事でしたが、手が空くとカメラの売り場にも立っていました。
ある日、夫婦のお客さんがカメラの棚の前で足を止めました。奥さんは値札を見ながら、夫に「前はもっと安くなかった?」と話しています。
やがて私のほうを向き、尋ねてきました。
「このカメラ、なんでこんなに高いの。もう少し安くならない?」
私は、その商品の以前の価格を知りませんでした。値段を決めているのも私ではありません。曖昧なことを答えるわけにもいかず、「確認してまいります」と伝えて、奥にいた先輩のところへ向かいました。
先輩は棚の控えを開き、しばらく確認してから言いました。
「見る限り、この値段は変わってないよ」
私は売り場へ戻り、確認できる範囲では値上げされていないことを、そのまま二人に伝えました。
夫の一言に、奥さんも笑い出した
すると、それまで黙っていた夫が奥さんのほうを見て言いました。
「前もそんなこと言ってたけど、値段は変わってなかっただろう」
奥さんは何か言おうとして、一度口を閉じました。それから少し考えるような顔をして、ふっと笑いました。
「そうだったかしら」
「そうだよ」
夫も笑っています。言い合いになるわけでもなく、奥さんも自分の記憶違いかもしれないと思ったようでした。
二人は少し相談したあと、そのカメラを持ってレジへ来ました。会計を終えると、奥さんが私に言いました。
「わざわざ調べてくれて、ありがとうね」
最初は少し強い調子に聞こえたので、私は意外に思いました。それでも、分からないまま答えずに確認したことで、余計な行き違いにならずに済んだのだと思います。
それからも値段について尋ねられることはありましたが、自分で分からないときは、まず確認してから答えるようになりました。今でもカメラを見ると、あの日、顔を見合わせて笑っていた夫婦を思い出します。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














