「毎朝来てるのに、俺の注文を知らないのか」怒鳴っていた常連客。だが、自分から注文を言うようになった理由
「毎朝来てるのに、知らないのか」
カフェでアルバイトを始めて、まだ間もないころのことです。朝の時間帯には、ほぼ毎日同じ時間に来る常連の方がいました。
ある朝、その方がレジの前に立ったので、私はいつもどおり注文をうかがいました。しかし返事がありません。
聞こえなかったのかと思い、もう一度声をかけました。それでも答えてもらえず、三度目にうかがったところで、急に強い口調で言われました。
「毎朝来てるのに、俺の注文を知らないのか」
毎日同じものを頼んでいるのだから、店員なら覚えていて当然だということのようでした。
店長がレジまで来て、その場では一緒に頭を下げました。私は申し訳ない気持ちになりながらも、まだ働き始めたばかりで、すべての常連客の注文まで覚えられていませんでした。
次の朝も、同じように注文を聞いた
翌朝、その方が列に並んでいるのが見えました。昨日のことを思い出し、少し身構えたのを覚えています。
それでも、その方の順番になると私は同じように聞きました。
「ご注文はいかがされますか」
すると、少し間を置いて「昨日言っただろう」と返されました。
私は注文を当てようとはせず、「申し訳ありません。もう一度うかがってもよろしいですか」とだけ伝えました。
そこで黙って待っていると、その方もしばらく何も言いませんでした。
やがて、小さな声で「コーヒー」と言いました。
私はホットかアイスかを確認して復唱し、会計を済ませました。その日は、それ以上やり取りが長引くこともありませんでした。
いつからか、先に注文を言うようになった
その次の朝も、その方は来店しました。
ところが今度は、私が声をかけるより先に注文が聞こえてきました。
「コーヒーをひとつ、ホットで」
私は復唱して会計を済ませ、カップをお渡ししました。
その後もその方は毎朝のように来店しましたが、いつからか、レジの前に立つと自分から注文を伝えてくれるようになりました。
誰かが注意したわけでも、店長が説得したわけでもありません。私も、それまでと同じように注文を確認していただけです。
おそらく、毎回「昨日と同じ」とやり取りするより、自分から言ったほうが早かったのでしょう。本人がどう考えていたのかは分かりません。
ある朝、横にいた先輩が「言ってくれるようになりましたね」と小さく笑いました。
私も少し笑って、それ以上は何も言いませんでした。
常連の方の顔や好みを覚えることも接客のひとつです。それでも、思い込みで注文を決めず、その都度きちんと確認する。私はその後も、そのやり方を続けました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














