「昔からそうだったから」正月の集まりで台所からほとんど出られなかった私の話を、夫が初めて聞いた結果
この家では、それが当たり前になっていた
結婚して初めてのお正月、夫の実家には朝から親戚が集まっていた。挨拶を終えると、義母が私を台所へ呼んだ。とがめるような調子ではなく、ごく自然な口ぶりだった。
「女性なんだから、手伝ってちょうだいね」
台所には煮物の鍋や重箱が並んでいた。私はお茶を出し、取り皿を用意し、料理が減れば補充する。その合間にも、義母からこの家のやり方を一つずつ教えられた。
玄関の花の水を替え、洗面所を整え、来客前にはトイレもさっと掃除する。
「お客さんが来る前に、水回りは見ておくものなのよ」
廊下の先の居間からは、テレビの音と笑い声が聞こえていた。夫も義父も親戚の男性たちも、ほとんど席を立たない。それを不思議に思っている人もいないようだった。
食事が始まっても、私は座っては立つことを繰り返した。空いた皿を下げ、お茶を足し、洗い物をする。ようやく落ち着いて座れたころには、みんなが食べていたデザートもほとんど残っていなかった。
義母から「ずっと手伝わせちゃったわね」と言われ、私は反射的に笑った。
「大丈夫です」
車の中で、私は一日を順番に話した
帰りの車で、私は夫に「今日はほとんど台所にいた気がする」と話した。
夫は最初、何を言われているのか分からないようだった。そこで私は、トイレまで掃除することになったのは驚いた、と続けた。
すると夫は、前を向いたまま言った。
「昔からそうだったから」
悪気があるわけではないのだと思った。
夫にとっては、子どものころから見てきた光景だったのだろう。
それでも私は、そこで話を終わらせなかった。
「鍋を温めて、お茶を出して、料理を運んで、皿を下げて、洗ってた。みんなが座っている間、私はずっと立ったり座ったりしてたよ」
夫はしばらく黙っていた。
「そんなにやってたんだ」
その言葉を聞いて、私は夫が初めて一日の流れを知ったのだと分かった。
次の年のお正月。親戚が集まり始めると、夫は私と一緒に料理を運び、空いた皿を下げるようになった。
義母は最初こそ「あなたは座っていればいいのよ」と言ったが、夫は「二人でやるよ」とだけ答えた。
男性陣がみんな動くようになったわけではない。それでも夫が立つと、近くにいた親戚も自分の皿を台所まで持ってくるようになった。
昔からそうだったことも、誰かが一度立ち止まれば、少しずつ変わっていくのかもしれないと思った。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














