「玄関、ちゃんと掃除してる?」結婚してから初めて泊まりに来た義母。だが、義母の小言に夫が返した本音
台所に入ってきた義母
結婚して一年ほど経ったころ、初めて義母がうちに泊まりに来ることになりました。私は前の日から念入りに片づけ、棚の上や窓の桟まで、いつもより丁寧に拭いていました。
ところが到着して間もなく、義母は玄関を見回して言いました。
「玄関、ちゃんと掃除してる?ほこりが見えるよ」
前の日に掃除したばかりだったので少し驚きましたが、私は「すみません」とだけ答えました。
夕食の支度を始めると、今度は義母が台所へ入ってきました。私が野菜を切っている手元を見ながら、「もう少し細く切ったほうがいいんじゃない」「うちではこうしていたよ」と次々に口を出してきます。
義母は意地悪をしているというより、自分が長くやってきた方法を教えているつもりだったのだと思います。それでも、自分の家の台所で細かく言われ続けると、だんだん息苦しくなってきました。
私は何も言い返せず、そのまま夕食を作り終えました。
箸を置いた夫
食卓についてからも、義母の話は続きました。
料理を見ながら「これはもう少し薄味でもよかったかもね」と言い、今度は夫に向かって、「あなたは昔からきれい好きだったのに、今はあまり気にしなくなったのね」と笑いました。
夫は最初こそ苦笑いしていました。私は黙って食事を続け、このまま何も言わずに終わればいいと思っていました。
すると、かたん、と箸を置く音がしました。
「母さん、うちのやり方はうちで決めるから、もうやめて」
夫でした。
続けて、「昨日からずっと片づけてたのも僕は見てたよ」と言いました。声を荒らげたわけではありません。ただ、それ以上は言わせないというように、はっきりした口調でした。
夫が義母にそんなふうに言うところを、私はそれまで見たことがありませんでした。
義母は一瞬黙り、「私は気づいたことを言っただけよ」と返しました。しかし夫は言い返さず、そのまま食事を続けました。
少しして、義母も「そう」とだけ言って味噌汁の椀を持ち上げました。
翌朝、義母は台所に入ってこなかった
そのあとの食卓は静かでした。多少の気まずさはありましたが、さっきまでのように私だけが耐えている感じはありませんでした。
翌朝、私が朝食を用意している間も、義母は台所には入ってきませんでした。帰り際には、玄関で「ごちそうさま」とだけ言って帰っていきました。
そのあとも義母は何度か泊まりに来ています。けれど、掃除のことも料理の切り方のことも、以前のようには言わなくなりました。
私が台所に立っていても、義母は居間で過ごしています。あの日の夫の言葉を、義母なりに受け止めたのかもしれません。
今も義母とは普通に会っていますし、親族づきあいが大きく変わったわけでもありません。
ただ、あの日に夫が箸を置いた音は、今でもよく覚えています。何も言えずにいた私の代わりに夫が一言伝えてくれただけで、こんなにも気持ちが軽くなるのだとは思いませんでした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














