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2026.09.08(Tue)

「親戚なんだから、そこまで言わなくてもいいだろ」30万円を貸した私。だが、催促出来なくなったワケ

「親戚なんだから、そこまで言わなくてもいいだろ」30万円を貸した私。だが、催促出来なくなったワケ

「来月には」を3度聞いた

約束していた半年が過ぎたころから、私はカレンダーに小さな印をつけるようになった。

最初の印をつけたのは、初めて返済の話を切り出した月の末だった。

「返済のこと、そろそろ聞いてもいいかな」

「今月は厳しいから、来月には返すよ」

その翌月にも、同じように連絡した。

「もう少しだけ待ってほしい。来月にはまとめて返すから」

さらに次の月、三度目に返ってきた言葉もほとんど同じだった。

「来月には、必ず」

数年前、私はその親戚に30万円を貸していた。

急な出費が重なって生活が苦しい、半年くらいで少しずつ返すから助けてほしい、と頼まれたからだ。

身内だからと借用書は作らず、口約束のまま封筒を渡した。

けれど半年を過ぎても、返済は一度も始まっていなかった。

印が三つ並んだころ、友人にその話をした。

「返せないなら返せないで、予定だけでも話してほしいよね」

「そうなんだけど、親戚だから強く言いにくくて」

自分でも、それがいちばん困っているところなのだと分かっていた。

親戚の集まりで見た、あの日の顔

その年の秋、法事で久しぶりに顔を合わせた。

相手は受付を手伝っていて、親戚が来るたびに頭を下げていた。

私の番になると一瞬だけ目が合ったが、交わしたのは「元気だった?」という短い挨拶だけだった。

会食の席では、同じ卓にいた人がスマートフォンの写真を見せていた。

その中に、海の見える場所で家族と食事をしている親戚の姿があった。

「先月、家族で出かけたんだって」

旅行に行ったからといって、お金に余裕があるとは限らない。

それでも、返済の話を三度先延ばしにされた直後だっただけに、私は少し複雑な気持ちになった。

何度か声をかけようと思ったが、法事の席には親戚が大勢いて、次々に誰かが話しかけてくる。結局、会食の間に二人だけで話す時間は作れなかった。

帰り際、駐車場でようやく相手と二人になった。

私が返済のことを切り出そうとすると、相手のほうが先に口を開いた。

「なんか、細かいこと言われてるみたいで気まずくてさ」

「責めたいわけじゃないよ。いつごろ返せそうか知りたいだけ」

すると相手は少し顔をしかめた。

「親戚なんだから、そこまで言わなくてもいいだろ」

その表情を見た瞬間、私はそれ以上言葉を続けられなかった。

相手は「じゃあ」と短く言って車に乗り込み、そのまま駐車場を出ていった。

30万円は、今も返ってきていない。

何度も催促することにも疲れ、いつからかカレンダーに印をつけるのもやめた。

今年の盆にも顔を合わせた。麦茶を飲みながら近所の話をしていた相手は、帰り際になって小さな声でこう言った。

「そのうち落ち着いたら、ちゃんとするから」

私は「うん」とだけ返した。

親戚だからこそ、お金の話をどこまで強く言っていいのか分からない。その迷いだけが、何年たっても残っている。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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