「男性陣もそろそろ手伝ったら」義実家の法事の台所労働を変えた、親戚のひと言
居間と台所、はっきり分かれていた義実家の役割
義実家の法事の日、居間と台所は、いつもくっきり線が引かれていました。
居間は、男性陣がお茶を飲み、笑いながら昔話に花を咲かせる場所。
台所は、女性陣だけが朝七時から立ち続け、お膳の用意と片付けに追われる場所です。
嫁いだばかりの私も、その「台所側」のメンバーに自然と組み込まれていました。
「若いから動けるわね」
義母がにこやかに肩をぽんと叩いて通り過ぎていきます。
悪気のない言葉だけに、否定もしにくく、私はただ笑顔で応じることしかできませんでした。
義姉や叔母さんも、「これは毎年のこと」という顔で、慣れた手つきで動いています。
私の中に、ぐっと飲み込まれた違和感が、毎年薄く一枚ずつ積もっていく。
その重みが、誰にも言えないまま続いていました。
夫の従姉が立ち上がった、ある日の午後
その年の法事も、いつもと同じ流れで始まりました。
朝の盛り付けが終わり、お膳を運び、合間に皿を洗い、お茶を入れ替える。
気がつけばお昼を過ぎていて、居間からは男性陣のくつろいだ声が漏れてきます。
その時でした。
居間の隅に座っていた、夫の従姉が、すうっと立ち上がったのです。
四十代後半、いつもは穏やかにお茶を飲んでいるばかりの方でした。
従姉はダイニングを覗き込み、軽い口調でこう言ったのです。
「男性陣もそろそろ手伝ったら」
声色は柔らかいのに、空気がふっと変わるのが分かりました。
居間でお茶を飲んでいた男性陣のうち、夫の従兄の方が「そうだね」と笑い、続いて何人かが立ち上がります。
「お皿、下げますね」
「おしぼりも、僕が並べていいかな」
突然動き始めた男性陣に、台所の女性陣は目を丸くして互いを見合いました。
義母も「あらまあ」と少し驚いた顔をしましたが、誰もそれを止めません。
そこから、ぎこちなくも、男性陣の手伝いが始まったのです。
翌年の法事では、男性陣の何人かが「今年は何やればいい?」と最初から声をかけるようになりました。
女性陣の手は、少しだけ早く居間に座れるようになっていきます。
長年動かなかった暗黙のルールも、誰か一人の軽い一言で動き始めることがあるのだと、あの日のお昼過ぎに、私は強く実感したのでした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














