「また働けばいいのに」出産したばかりの私に当たり前のように言う伯母→夫の一言で伯母の本音が見えた
軽口を返せなかった私と、横で聞いていた夫
第二子を産んで会社を退職した私のところに、母方の伯母はよく顔を出した。気にかけてくれるのはありがたい。ただ、来るたびに繰り返される一言だけが、毎回ちくりと刺さる。
「また働けばいいのに」
下の子はまだ生後数か月、上の子は4歳。
夜中の授乳で頭はぼんやりしているし、伯母の言葉に上手く返す気力もなくて、私はいつも曖昧に笑ってお茶を注ぎ足していた。
夫は隣のソファでスマホをいじりながら、その様子をずっと見ていたらしい。私が口にしない代わりに、夫の中で何かが少しずつ積もっていたんだと思う。
伯母の表情が止まった日曜日
その日曜日も、伯母は手土産の和菓子を片手に上がってきた。お茶を一口飲んで、上の子の幼稚園の話をして、それから例によってあの一言。
「また働けばいいのに」
私が返事を探しているうちに、夫が湯飲みを置きながら、本当に何気ない調子で言った。
「もし仕事に戻るなら、今の勤務時間だと送迎が難しいから、手伝ってもらえる?」
夫はもう一度、念を押すように静かに繰り返した。
「送迎を手伝ってもらえる?」
その瞬間、伯母の口元が止まった。
さっきまで軽くひらひらしていた声色が、急に途切れる。視線が一瞬テーブルに落ちて、それから困ったように眉が下がった。
「えっと、うちもほら、平日は私も病院があるしねぇ……」
言葉が尻すぼみに細くなる。リビングの空気が、一段だけ低くなった。
夫は責めたわけじゃない。問い詰めたわけでもない。ただ、現実に乗っかった一行を、淡々と返しただけ。それだけで「軽く言える人」と「実際に動ける人」の境目が、伯母自身の表情にくっきり浮かび上がってしまった。
(簡単に言うけど、実際はそういうことだよね)
私はそっと下の子を抱き直しながら、胸の奥で小さくうなずいた。次の週、その次の週と伯母は何度かやってきたけれど、もう「働けば」のひと言は出ない。代わりに、上の子の絵本を一緒に読んでくれる伯母の横顔を眺めながら、ずっと欲しかった距離感がやっと戻ってきた気がした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














