「この案件、絶対に通してみせる」と誰にも言えなかった30代→一人ずつ関係者を動かした先に待っていた自信
誰も引き取らなかった仕事
人手が足りない職場というのは、仕事が「宙に浮く」場所でもある。
担当が決まらないまま放置された案件が気になり始めたのは、ある月曜日の朝だった。
複数の関係者の承認が必要な案件なのに、連絡のやり取りが止まったまま何週間も経過していた。
打ち合わせで「この案件はどうなっていますか」と切り出すと、直属の主任は少し間を置いて言った。
「時間ができたら誰かが動くんじゃないか」
その答えに、私は内心首を横に振った。
待っていても動かない。
そう判断した。
この案件は自分が動かすしかないと決めるまで、それほど時間はかからなかった。
「この案件、絶対に通してみせる」
「この案件、絶対に通してみせる」
誰にも宣言しなかった。ただ心の中で決めた。
関係部署の担当者へ、一人ずつ丁寧にメールを送った。
内容は短く、確認してほしい箇所だけをリスト形式にまとめた。
相手の負担が最小限になるよう工夫したのは、返信率を上げるためだ。
返信が来ない相手には、間隔を計算しながらリマインドを送り続けた。
週をまたいで、何度も連絡のやり取りを繰り返した。
途中で「これは本当に自分がやるべき仕事なのか」という疑問が頭をよぎった。けれど、誰かが動かさなければ永遠に止まったままだという現実は変わらない。
その一点だけを軸にして、前に進んだ。
最後の承認が下りたのは、金曜日の夕方だった。画面を閉じる前に、静かに深呼吸した。
先方の一言と、自分への信頼
納品完了の連絡を送った翌週、先方の担当者から短いメッセージが届いた。
「スムーズに進めていただいてありがとうございます」
それだけだったが、十分だった。
自分で動いて、動かした。
誰に頼まれたわけでもないのに最後まで完遂した。
その事実が、じわりと手応えに変わっていくのを感じた。
人手不足の中では、誰かがやってくれるのを待つより自分が動いた方が早い場面が確かにある。
そして、自分から動いた経験の積み重ねが、少しずつ自分への信頼につながっていく。
あの案件を通じて気づいたことが、もうひとつある。
ひとたびイニシアチブを取ると、仕事の解像度が上がるということだ。
関係者それぞれが何を大事にしているか、どこで止まりやすいかが見えてくる。それが次の調整にも確実に生きていった。
条件が整わない場所でも、段取りとフォローがあれば仕事は動かせる。
それを30代のうちに体験できたことが、今の自分の足場になっている。
誰にも言わずに引き取ったあの案件を、今でも正解だったと思っている。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














