「レジ袋じゃないんだから、早い者勝ちよ」無料のポリ袋を取り続けた女性。だが、バッグの中身を出すことになった瞬間
早い者勝ちだと言い張る女性
夕方、近所のスーパーで夕飯の買い物をしました。
会計を終え、袋づめの台へ向かうと、無料のポリ袋のロールの前に60代くらいの女性が立っていました。
僕は水けの出そうな魚のパックを手に、そのうしろで待ちました。
さらにうしろには、豆腐のパックを持った年配の男性が並んでいます。
ところが女性は、袋を1枚取って終わりではありませんでした。次々と引きちぎって丸め、肩にかけたバッグへ入れていきます。気づけば20枚をこえていました。
なかなか終わる様子がないので、僕は思い切って声をかけました。
「すみません。1枚だけ先に取らせてもらってもいいですか」
「今使ってるんだから、待ってて」
女性は手を止めません。
「僕、1枚あれば足りるんです」
すると女性は、少し面倒そうに振り返りました。
「タダの物なんだから、そんなに遠慮しなくてもいいでしょ」
やがてロールは芯だけになりました。
僕が空になったロールを見ていると、女性はバッグを抱え直して言いました。
「レジ袋じゃないんだから、早い者勝ちよ」
うしろの男性も、何とも言えない顔で空の芯を見ていました。
新しいロールを持ってきた店員
そこへ、制服姿の30代くらいの女性店員が、新しいロールを抱えてやってきました。
店員は空の芯を見たあと、女性のバッグの口からのぞいている丸めたポリ袋に目を止めました。
「お客様、こちらの袋は、お買い上げの商品を小分けするためにご用意しているものなんです」
女性はすぐに答えました。
「ちゃんと買い物したわよ。無料なんでしょ?」
「はい。ただ、ほかのお客様もお使いになりますので、必要な分だけでお願いしています」
店員は空になったロールを示しながら、落ち着いた声で続けました。
「申し訳ありませんが、お使いになる分以外は、こちらに出していただけますか」
女性はしばらく黙っていました。
すると、うしろの男性が小さな声で言いました。
「多いな」
通路の向こうのレジに並んでいた人たちも、声に気づいてこちらを見ました。
女性は何も言わず、バッグから丸めた袋を取り出し、台の上に置いていきました。
店員は新しいロールを取り付けると、僕と年配の男性に1枚ずつ渡してくれました。
「お待たせしました。どうぞ」
僕が「ありがとうございます」と受け取る横で、女性はバッグを抱え直し、そのまま店を出ていきました。
無料で使える物でも、必要な人みんなで使うために置かれている物があります。空になったロールを見ながら、その当たり前のことを改めて考えた出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














