「本当にごめんなさい」新幹線の日付を間違えた事務員。だが、営業の男性が返した優しい一言
日付だけは、何度も確認していた
私は60代で、会社で事務をしています。営業の人たちの出張が決まると、新幹線の切符をまとめて手配するのも私の仕事でした。
間違えないよう、予定表の日付を指でなぞりながら確認するのが長年のくせです。
その日の昼も、自分の机で届いた切符を一人分ずつ封筒に入れていると、40代の営業男性がやってきました。
「明日の切符、お願いしていた分ありますか?」
「はい。朝の便で取ってありますよ」
「よかった。助かります」
男性は封筒を受け取り、自分の席へ戻っていきました。
それを見ていた隣の席の後輩が、笑いながら言います。
「切符の日付って、間違えたことないですよね」
「そこだけは何回も確認してるからね」
そう答えたときの私は、まさか数時間後に青ざめることになるとは思ってもいませんでした。
控えに印字されていたのは、来週の日付
夕方、翌日の予定を確認するため、私は予定表と切符の控えを机に並べました。
男性の出張日は、確かに明日です。
ところが控えに印字されていたのは、来週の日付でした。
「え…?」
何度見直しても変わりません。
切符を手配したとき、私は予定表の来週のページを開いていました。
いつものように指で日付をなぞって確認したつもりが、見ていた週そのものが違っていたのです。
慌てて男性を呼び、封筒から切符を出してもらいました。
机の上に置かれた切符を見て、私は声を落としました。
「日付がまちがってる…明日の新幹線じゃない。本当にごめんなさい」
血の気が引きました。
「今から取り直します。すぐ行ってきます」
何度も頭を下げる私の前で、男性はしばらく切符の日付を見つめていました。
ところが、怒られると思っていた私に返ってきたのは、意外な言葉でした。
「そんなに謝らなくて大丈夫ですよ。まず先方に確認してみます」
「でも、明日の出張ですよね」
「そうですけど…正直、ちょっと気が重かったんですよ。もし日程を変えられるなら、この切符が使えますし」
そう言って、男性は少し笑いました。
「変更できたら、明日は少し楽になるな」
私はほっとしたような、申し訳ないような気持ちで、しばらく返事ができませんでした。
「絶対に間違えない」と思っていたからこそ
それ以来、予定が変わることもあるため、新幹線の切符はそれぞれが自分で取る決まりになりました。
それでも営業の人たちは、今も出張の前後に私の机へ顔を出します。戻ってきたときには、お土産を置いていってくれることもあります。
先日、隣の席の後輩が、机に積まれた菓子の箱を見て笑いました。
「切符係だったころより、もらってません?」
私は思わず笑ってしまいました。
日付を指でなぞれば大丈夫。そう思い込んでいた私にとって、あの間違いは今でも忘れられません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














