「今日はちゃんと話したいことがある」10年ぶりに会った友人を警戒した私。だが、置かれた封筒を見て固まった理由
約10年ぶりに会う友人から届いた連絡
30代の私に、学生時代の友人から連絡が届いたのは、月末の少し前でした。
「久しぶりに会わないか。話したいことがあるんだ」
卒業後しばらくは年賀状をやり取りしていましたが、それもいつの間にか途切れていました。顔を合わせるのは約10年ぶりです。
学生のころの私たちは、2人ともいつもお金に余裕がありませんでした。昼は安い定食を選び、財布の中を見ながら「給料日まであと何日だ」と話していたのを覚えています。
待ち合わせたのは、夜の喫茶店でした。
「変わらないな。すぐ分かったよ」
「そっちこそ。元気だった?」
久しぶりとは思えないほど会話は弾みました。ところがコーヒーが運ばれてくると、友人は少し姿勢を正しました。
「実はさ、今日はちゃんと話しておきたいことがあって」
断る言葉を考えていた私の前に置かれた封筒
その言葉を聞いた瞬間、私は勝手に身構えました。
約10年ぶりの再会で「話したいことがある」。しかも友人は妙に緊張しています。
もしかして、お金の相談だろうか。
「貸して、と言われても今月は無理だな…」
なぜかそんな金額まで頭に浮かびました。ちょうど私自身も余裕のない時期です。「悪いけど今は無理なんだ」と、頭の中で断る言葉まで考えていました。
「……うん。聞くよ」
すると友人は、かばんから白い封筒を取り出し、私の前に置きました。そして深く頭を下げたのです。
「学生のときに借りた5000円。ずっと返せてなかった。本当にごめん」
「…え?」
私はしばらく封筒を見つめたまま固まりました。
貸したことを、まったく覚えていなかったのです。
友人は少し困ったように笑いました。
「ずっと気になってたんだ。やっと返せたよ」
「…あ、どうも」
さっきまで断る練習をしていた自分が急に恥ずかしくなりました。
会計のとき、私は友人より先に伝票を取りました。
「今日は俺が出すよ」
「え、なんで?」
「いや…なんとなく」
疑っていたとは言えず、私は笑ってごまかしました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














