「これ、誰が作ったんでしょうね」町内のゴミ問題を改善した手作り案内板。風で傾いた朝に気づいた思わぬ事実
誰が作ったのか分からない案内板
私が住んでいる町内のゴミ捨て場では、以前から分別されていないゴミが問題になっていました。
町内会で話し合っても、どの家が出しているのか分かりません。
総会に出席しない家庭も多く、回覧板で注意を呼びかけても、なかなか改善しませんでした。
そんなある日、ゴミ捨て場の横に、手作りの案内板が置かれていました。
段ボールにラミネートした紙が貼られていて、燃えるゴミやプラスチック、びん、缶の出し方が、絵入りで分かりやすく書かれています。
すると不思議なことに、それまでよく見かけていた分別されていないゴミ袋が、ほとんどなくなったのです。
しかも、その案内板はなかなか丈夫でした。
大雨が降った翌朝も、風が強かった日も、同じ場所に立っています。
ある朝、ゴミを出しに来ていた向かいの奥さんと、その案内板の話になりました。
「これ、誰が作ったんでしょうね。役員さんでもないみたいですよ」
「そうなんですか。名前も書かずに、こんなに丁寧に作るなんて。ありがたいですね」
「本当ですよね。わざわざラミネートまでしてくれて」
私たちは感心しながら、案内板を眺めていました。
誰が作ったのかは分かりません。
それでも、町内のために手間をかけてくれたことが、うれしかったのです。
案内板の裏に残っていたもの
案内板が置かれてから半年ほどたった、ある朝のことです。
いつものようにゴミ捨て場へ行くと、風にあおられたのか、案内板が斜めに傾いていました。
周囲には誰もいません。
私はゴミ袋をかごに入れてから、案内板を元の位置に戻そうとしました。
そのとき、裏側に貼られた白い紙が目に入りました。
「あれ? これって…」
よく見ると、宅配便の送り状です。
はがさずに段ボールを再利用したのでしょうか。
送り状には、届け先の名前と住所が残っていました。
「えっ、名前も住所も書いてあるじゃない…!」
思わず独り言が出ました。
あれだけ「名前も書かずに、すごい人だ」と感心していたのに、案内板の裏には個人情報がしっかり残っていたのです。
さらに品名の欄を見ると、「ラミネーター」と書かれています。
もしかして、この案内板を作るのに使った機械なのでしょうか。
もちろん、送り状の宛名が作った人本人なのかは分かりません。
それでも、丁寧に作られた案内板の裏に、こんな意外なものが残っていたとは。
あまりに予想外で、私は思わず笑ってしまいました。
ただ、名前も住所も見えるままでは困ります。
私は案内板をいったん戻し、個人情報の部分を剥がして、家へ帰り処分しました。
すると、笑いが残っていた私を見て、夫が不思議そうに声をかけてきました。
「どうしたの?何かおもしろいことでもあった?」
「あのゴミ捨て場の案内板ね。裏に宅配便の送り状が残ってたの」
「えっ、送り状?」
「そう。名前も住所もそのままで。びっくりしちゃった」
夫はきょとんとしていました。
表はとても丁寧なのに、裏には思いがけないうっかりが残っていた案内板。
誰が作ったのか、結局分からないままです。
それでも、町内のために作ってくれたことへの感謝は変わりません。
今でもゴミを出すたびに、あの送り状を思い出して、少しだけ笑ってしまいます。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














