「クリスマス、予定あるの?」夜行バスで隣になった男性からのナンパ。降りたあとも連絡が続いた結果
帰省の夜行バスで、隣になった人
学生のころ、帰省にはよく夜行の高速バスを使っていました。
通路をはさんで二人掛けの座席が並ぶ、ごく普通の車両です。一人で乗れば、隣に座るのは毎回知らない人でした。
十二月のその日、私の隣には若い男性が座りました。
バスが出発してしばらくすると、その人はこちらを向いて話しかけてきました。
「学生さん?」
「はい」
「何年生?」
短く答えると、今度は自分の仕事や住んでいる場所について話し始めました。私は相づちを打つ程度でしたが、会話はなかなか終わりません。
やがて窓の外の店や街路樹に、クリスマスの飾りが見えてきました。
「クリスマス、予定あるの」
「まだ分からないです」
「予定なかったら、ご飯でも行かない?」
私は曖昧に笑って、そのまま窓のほうを向きました。
初対面の人にそこまで聞かれるとは思っておらず、少し居心地が悪くなっていました。
休憩のあと、携帯が何度も震えた
深夜、サービスエリアで休憩になりました。
私がバスを降りると、男性も少し遅れて降りてきました。
売店から戻ろうとしたところで、男性が携帯を取り出しました。
「せっかくだから、連絡先交換しようよ」
断ったら残りの時間が気まずくなるかもしれない。そう考えてしまい、私は自分のメールアドレスを教えました。
座席に戻って数分すると、携帯が震えました。
隣の男性からでした。
「ちゃんと届いた?」
私は一度だけ「届きました」と返しました。
ところが、それで終わりませんでした。
「眠くないの?」
「さっきのクリスマスの話、考えといてね」
返事をしなくても、しばらくするとまた携帯が震えます。
「寝ちゃった?」
隣に本人が座っているのに、携帯へ何度もメールが届く。
その状況が怖くなり、私は携帯を鞄の中へしまいました。
話しかけられても、「もう寝ます」とだけ答え、目を閉じました。
バスを降りても、連絡は終わらなかった
翌朝、終点のロータリーで男性とは別れました。
これで終わったと思っていたのですが、実家に着いてからもメールは届きました。
「無事着いた?」
「今日は何してるの?」
その後も、朝や夜に関係なく連絡が続きます。私は返事をしなくなりましたが、新着メールが表示されるたびに、まず差出人を確認する癖がつきました。
冬休みが明けて友人と会ったとき、私はようやくその話をしました。
「夜行バスで隣になった人に、メールアドレス教えちゃって」
「まだ連絡来るの?」
「返してないけど、来る」
友人は驚き、携帯の迷惑メール設定から特定のアドレスを受信拒否できることを教えてくれました。
その場で設定すると、その男性からのメールは届かなくなりました。
それでも、しばらくは携帯が震えるだけで少し身構えてしまいました。結局、その後メールアドレス自体も変更しました。
春になってまた帰省する時期が近づくと、母にこの話をしました。
母は少し心配そうな顔をして、「今度は昼のバスで帰っておいで」と言いました。
知らない人と隣り合わせになること自体は、公共交通機関なら珍しいことではありません。ただ、断りづらいという気持ちだけで連絡先まで教える必要はなかったのだと、今でもあの夜を思い出すことがあります。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














