「娘が押されたら怖い」階段を降りる園の子供たち。だが、背中を押してしまう子供に先生が取った行動とは
帰りの階段で、いつも少し身構えていた
娘が年少だったころ、同じクラスに新しく入園してきた子がいました。
帰りの階段では、子どもたちと保護者が続いて下りていきます。
その子は先へ行きたい気持ちが強いのか、最後の数段になると前の子との間が近くなり、後ろから押すような形になることがありました。
娘のすぐ後ろにいる日は、私は下りきるまで落ち着きませんでした。
(娘が押されたら怖い)
一度、階段の下で先生にそのことを伝えました。
先生はすぐに否定することも、その子だけを呼んで叱ることもせず、
「こちらでも気をつけて見ますね」と答えました。
それから何日かたった帰り、階段の上で先生が子どもたち全員に声をかけました。
「階段は手すりを持って下りましょう」
誰かの名前が出たわけではありません。ただ、全員が守る帰りのルールとして伝えられました。
子どもたちは手すりのある側へ並び、順番にゆっくり階段を下りていきます。前の組が進んでから、次の組が動く形です。
「わたし、まんなか」
娘は楽しそうに列へ入りました。
私は娘の手を握る代わりに、手すりをしっかり持つよう声をかけました。階段の途中に少し間ができたことで、以前のように後ろから急かされる感じもなくなりました。
最初のころ、その子は列から先に出ようとすることもありました。
すると先生が、「手すりね」と短く声をかけます。
強く叱る言い方ではありません。それでも、その子は立ち止まって手すりを握り、前の子が進むのを待つようになりました。
いつのまにか、押されることはなくなっていた
何週間かたったころ、私はふと気づきました。
先生が声をかける前から、その子が自分で手すりを持っていたのです。
そういえば、後ろから押されることも、いつのまにかなくなっていました。いつからだったのか思い出せないほど、少しずつ変わっていたのだと思います。
ある日、娘が階段の途中で立ち止まりました。靴が脱げかけたようです。
私は一瞬、「後ろが詰まる」と思いました。
ところが振り返ると、その子は一段上で止まり、娘が動くのを待っていました。
娘が靴を直してから、
「ありがとう」
と言うと、その子もそのままゆっくり下りてきました。
近くにいたその子の保護者が、こちらを見て小さく笑いました。私も会釈を返しました。
卒園まで、その子とは同じクラスでした。
年長になるころには、階段で手すりを持つのは当たり前になり、前が止まれば自分も止まって待つようになっていました。
最初は危ないと感じていた私も、いつしか帰りの階段で身構えることはなくなっていました。
一度強く注意されたから変わったのではなく、毎日同じやり方を繰り返したから、少しずつ身についたのかもしれません。
あのとき先生が作ったのは、誰か一人を叱るための決まりではなく、みんなが安全な下り方を覚えるためのルールだったのだと思います。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














