「みんなでやったのに、あなただけいなかったから」子供の文化祭の準備で言われた嫌味。次の集まりで会長が言った事実
紙テープの束を渡された、あの夜のこと
子どもが小学生だった頃、PTAの役員をしていました。
活動の盛んな学校で、文化祭には毎年、役員で作品を作って出すことになっていました。
何度か夜に集まって相談し、その年は紙テープで編む籠を作ることになりました。まず材料を必要な長さに切り、次の集まりから編み始める予定でした。
ところが材料を準備する日、私にはどうしても外せない用事がありました。参加できないことは、あらかじめ会長に伝えていました。次の作業には参加しようと思っていたので、それ以上は特に気にしていませんでした。
その日の夜、同じ役員で、家が近い方が訪ねてきました。手には、きれいに切りそろえられた紙テープの束があります。
「これ、次に使うあなたの分」
そう言って渡してくれたあと、その方は少し納得のいかない様子で続けました。
「切る作業はみんなでやったのに、あなただけいなかったから」
私は、用事があって参加できないことは会長に伝えてあった、と説明しました。
ただ、その方は初めて聞いたような顔をしていました。
そこでようやく、欠席することがほかの役員には伝わっていなかったのだと気づきました。玄関を閉めたあと、私はしばらく紙テープの束を見つめていました。
会長が、自分から事情を説明してくれた
次の集まりの日は、少し緊張しながら席につきました。また何か言われるのだろうかと考えていたからです。
けれど、最初にその話をしたのは会長でした。
「私が欠席すると聞いていました。皆さんに伝えられていなくて、申し訳ありません」
誰かを責める言い方ではありませんでした。会長は、自分が聞いていたことを共有できていなかったと説明し、「これからは来られない人がいるとき、その場で全員に伝えるようにします」と続けました。
家まで紙テープを届けてくれた方は、少し黙ったあと、「そうだったんですね」と短く答えました。
別の役員からも「私も聞いていなかった」と声が上がり、何人かがうなずきました。それ以上、誰かを責めるような話にはなりませんでした。
その後は、欠席する人がいるときには全員で共有するようになりました。事情を知らないまま、「あの人だけ作業に来なかった」と受け取られることもなくなりました。
籠は無事に完成し、文化祭にも並びました。出来上がった作品を見たとき、玄関で紙テープの束を受け取った夜の重たい気持ちが、少し遠くなったように感じました。
家に来た方とは、そのあとも普通に話しました。あの日は夜まで作業をしていて、きっと疲れていたのだと思います。
今でも紙テープを見ると、伝えたつもりでも、必要な人にまで伝わっているとは限らないのだと、あの年のことを思い出します。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














