「客なんだから何とかしろ。そんなのは店側の都合だろ」無理難題を何度も頼んでくる客。だが、後ろに並んでいた人の一言で救われた
何度説明しても、同じ言葉が返ってきた
接客の仕事をしていたころ、レジに立っていた日のことです。ちょうど混み始める時間帯で、後ろには何人かのお客さんが並んでいました。
そのとき、一人のお客さんから、店では対応できないことを何度も求められました。私では判断できないという話ではなく、決まり上、こちらでは変更できない内容でした。
私はできるだけ分かりやすく伝えようと、言葉を変えながら説明しました。
「申し訳ございません。こちらでは変更ができない決まりになっているんです」
ところが、お客さんは納得しません。
「客なんだから何とかしろ。そんなのは店側の都合だろ」
少しずつ声も大きくなっていきました。何か事情があって、どうしても希望どおりにしたいのだろうとは思いました。
それでも、私にできる対応が増えるわけではありません。
もう一度謝り、同じ内容を説明します。しかし、また同じ言葉が返ってきました。
後ろの列は止まったままです。待っている人たちの視線が気になり始めると、「もっと別の言い方があるのでは」と、自分の説明にまで自信がなくなってきました。
後ろに並んでいた人が口を開いた
何度目かのやり取りになったときでした。後ろに並んでいた人が、静かな声で話しかけました。
「さっきから聞いていましたけど、店員さんは同じ説明をしていますよ。出来ないことは出来ないんだと思いますよ」
私をかばおうと強く言ったわけでも、お客さんを責めたわけでもありません。ただ、そこで見聞きしていたことを伝えただけでした。
お客さんは何か言おうとして口を開きましたが、そのまま少し黙りました。
「……分かった」
短くそう言うと、会計を済ませて、そのまま店を出ていきました。
私は驚きました。私が何度説明しても終わらなかったやり取りが、後ろから一言入っただけで終わったからです。
「大変ですね」と言われて気づいたこと
列が再び動き出し、次のお客さんの会計を始めました。
商品を受け取り、いつものように金額を伝えていると、その方が小さな声で言いました。
「大変ですね」
私は「ありがとうございます」とだけ返しました。
決まりそのものは変えられません。それでも、さっきまでの説明が間違っていたわけではないと、少しだけ気持ちが軽くなりました。
それ以来、同じように何度も説明を求められる場面でも、相手の事情には耳を傾けながら、できないことは落ち着いて伝えようと思えるようになりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














