「朝早くにごめんなさいね」大雪の翌朝に訪ねてきた隣人。だが、伝えられた事実に困惑したワケ
大雪の翌朝、ドアホンが鳴った
引っ越してきて間もない冬のことです。
夜通し降った雪で、朝には家の周りがすっかり白くなっていました。
まだ早い時間にドアホンが鳴り、画面を見ると隣の家のご婦人が立っています。普段はすれ違えば挨拶を交わす程度でしたが、越してきたときにも丁寧に応じてくれた、物腰のやわらかい人でした。
「朝早くにごめんなさいね」
何かあったのかと尋ねると、ご婦人は穏やかな声のまま言いました。
「うちの敷地に、お宅の屋根の雪が落ちました」
一瞬、どう答えればいいのか分かりませんでした。屋根から雪が落ちたこと自体、私はそのとき初めて知ったのです。
手にしていたのは、小さな雪のかたまり
慌てて玄関を開けると、ご婦人は両手に収まるほどの雪のかたまりを持っていました。
白い雪には、地面についたらしい細かな土が混じっています。
「これ、お宅の屋根から落ちてきた雪です」
私はますます戸惑いました。雪が隣の敷地へ落ちたことを伝えに来たのは分かります。
ただ、その雪の一部をわざわざ玄関まで持ってきたことを、どう受け止めればいいのか分かりませんでした。
「すみません。片づけに伺いましょうか」
そう聞くと、ご婦人は首を振りました。
「いいえ、大丈夫ですよ。お知らせしておこうと思っただけですから」
責めるような口調ではありません。それだけに、私はかえって返事に困ってしまいました。
「あ……わざわざ、ありがとうございます」
結局そう答えると、ご婦人はいつものように丁寧に頭を下げて帰っていきました。
雪が降るたび、屋根を見るようになった
嫌なことを言われたわけでも、強く苦情を受けたわけでもありません。
それでも、雪のかたまりを手渡されたあの朝のことは妙に印象に残っています。
土地が変われば、近所同士の距離感や伝え方も違うのかもしれません。
あれ以来、大雪の予報を聞くと、私は隣の家との境と屋根の雪を少し気にするようになりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














