「夫の転勤があるかもしれない」学校の役員決めで未定の状況を言い出す保護者。だが、進行役の提案で空気が一変
くじを引く前に出た、二つの申し出
子どもが小学生だった頃、春になると保護者が集まり、その年の役員を決めていました。
誰かがやらなければ回らない仕事ですが、自分から手を挙げる人はなかなかいません。その年も希望者が出なかったため、集まった保護者でくじを引くことになりました。
紙を折って箱に入れ、順番に引こうとしていたときです。一人の方が手を挙げました。
「夏に県外へ引っ越すことが決まっているので、一年間はできません」
すでに転居の日も決まっているとのことで、進行役の方も「それなら仕方ないですね」と答え、その方はくじから外れることになりました。
すると、別の方も口を開きました。
「うちも夫の転勤があるかもしれないので、当たっても途中でできなくなると思います」
その瞬間、何人かが顔を見合わせました。
転勤の可能性があるなら、不安になる気持ちは分かります。ただ、まだ決まっていない予定まで理由にすると、仕事が忙しくなりそう、家の事情が変わるかもしれないなど、誰にでも先の予定はあります。
かといって、その方だけを責めるような話でもありませんでした。
外すのではなく、途中で助け合うことに
少し間を置いて、進行役の方が言いました。
「予定で外れるなら、みんなで順番にカバーしましょう」
そして、役員になったあとで転勤や仕事、家庭の事情などで続けることが難しくなった場合は、その時点で残った仕事をほかの役員で分けようと提案しました。
「決まったときに考えればいいってことですね」
近くの方がそう言うと、何人かがうなずきました。
転勤の可能性を話していた方も少し考えたあと、「分かりました」と答え、みんなと同じようにくじを引きました。
一方、すでに県外への転居が決まっていた方については、そのまま免除になりました。
実際にその決まりが役立ったのは、役員の活動が始まってからです。
仕事の都合で集まりに出られない人や、家庭の事情で担当していた作業ができなくなる人もいました。そのたびに、できる人が少しずつ仕事を分けました。
以前に助けてもらった人が、別の日には誰かの仕事を引き受けることもありました。
一年先のことまで、誰にも正確には分かりません。だからこそ、まだ起きていない事情ですべてを決めてしまうのではなく、本当に困ったときに支え合えばいい。
誰かの事情を否定するのでも、無理に引き受けさせるのでもなく、みんなが使える決まりに変えたあの日の一言を、今でも覚えています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














