「みんなと一緒にやっておいで」運動会で不安そうに座っていた子供。だが、先生の一言に心温まったワケ
会場には来ていたけれど、競技には入れなかった
子どもの運動会でのことです。同じクラスに、ふだんから学校を休むことが多い子がいました。
運動会の練習にも参加できない日が何度かあったようで、当日は来ていたものの、朝から少し落ち着かない様子でした。
最初の競技が近づき、クラスの子たちが並び始めても、その子だけは見学用の椅子から動きません。
先生が声をかけても、首を横に振っていました。
練習に出られなかったぶん、並ぶ場所や動く順番に自信がなかったのかもしれません。
周りの子たちが当たり前のように準備している中へ入っていくことが、怖くなってしまったように見えました。
しばらくすると、観客席からお母さんの声が聞こえました。
「せっかく来たんだから、みんなと一緒にやっておいで」
責めたいというより、せっかくの運動会だから参加してほしかったのだと思います。
けれど、その子はますます小さくなったように見えました。
先生は、競技へ戻るようには言わなかった
そこへ、若い先生がやってきました。
先生はその子の前にしゃがみ、しばらく小さな声で話していました。
それから立ち上がると、すぐ近くに置いてあった小さな板と鉛筆を持ってきました。
「見ているだけでも参加だから、先生のそばにいてくれる?」
先生が頼んだのは、競技をしながら先生の横で待ち、終わった子の人数を一緒に確認することでした。
順位を決めるような大事な係ではありません。ただ先生と一緒に競技を見て、ときどき紙へ印をつけるだけです。
先生は板を無理に渡さず、椅子の横に置きました。
「やってみたくなったら、これ使ってね」
そのまま先生は少し離れました。
その子はしばらく板を見ていました。
やがて鉛筆を手に取ると、自分から椅子を立ち、先生のいるコース脇まで歩いていきました。
みんなと同じでなくても、参加する場所はあった
競技が始まると、その子は先生のすぐ横に立っていました。
子どもたちがゴールするたび、先生と一緒に人数を確かめ、紙に小さく印をつけています。
途中、先生が紙をのぞき込んで何か話すと、その子は初めて少し笑っていました。
次の競技では、また見学席へ戻っていました。それでも先ほどまでのようにうつむいてはいませんでした。
クラスの子が走る姿を見たり、近くの子と話したりしながら最後まで会場にいました。
私はそれまで、運動会への参加とは、決められた競技にみんなと同じように出ることだと思っていました。
でも、その子にはその日のその子なりの参加の仕方がありました。
先生は「せっかく来たのだから」と競技へ押し戻すことはしませんでした。ただ、みんなの輪から完全に離れなくてもいい場所を一つ用意したのです。
椅子から立ち上がったその姿を見て、同じことをするだけが参加ではないのだと感じました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














