「このあと誰か来るのかな」運動会で家族が広げた大きなシート。だが、競技が始まる頃に見た光景とは
開門とともに埋まっていく観覧席
子どもの幼稚園の運動会では、クラスごとに観覧する区画が決められていました。保護者の人数に対して場所にはあまり余裕がなく、シートを小さめに広げて譲り合うような雰囲気がありました。
その朝、私は夫と二人で開門を待つ列に並んでいました。
持ってきたのは、大人二人が並んで座れるくらいのレジャーシートです。
「端のほうでも座れればいいね」
「そうだね。子どもの競技が見えれば十分かな」
門が開くと、保護者たちはそれぞれのクラスの区画へ向かいました。私たちも空いていた端にシートを敷き、できるだけ場所を取らないように座りました。
目の前に広がった大きなブルーシート
すると、少し前に並んでいた家族が、大きなブルーシートを広げ始めました。
畳まれていたときには分かりませんでしたが、広げてみるとかなりの大きさです。狭い観覧区画の中で、その一枚だけが目立っていました。
夫も少し驚いたように、私へ小声で言いました。
「ずいぶん大きいシートだね」
周りを見ると、後から来た家族が空いている場所を探しながら、小さくシートを折りたたんでいます。
「ここ、もう少し詰めますね」
隣にいた保護者も、自分たちのシートを少し縮めていました。
私は、大きなシートの家族には、このあと祖父母などが合流するのかもしれないと思っていました。
最後まで空いていた場所
ところが競技が始まってしばらくしても、そのシートに座っていたのは、ご夫婦らしき二人と赤ちゃんの三人だけでした。
もちろん、途中から誰かが来る予定だったのかもしれません。赤ちゃんを寝かせたり、荷物を置いたりするために広い場所が必要だと考えた可能性もあります。
ただ、シートには何も置かれていない部分がかなり残っていました。そのすぐ後ろでは、何組もの家族が肩を寄せるように座っています。
「もう少しだけ小さくしてくれたら、座れる人が増えるのにね」
夫がそうつぶやき、私も同じことを考えていました。
結局、その家族がシートを畳み直すことはありませんでした。誰かが直接注意することもなく、運動会はそのまま進んでいきます。
せっかく子どもたちの成長を見守る日です。自分たちに必要な場所だけでなく、周りにも同じように見守りたい家族がいることを、少しだけ意識できたらよかったのかもしれない。窮屈なシートの上で競技を眺めながら、私はそんなことを思いました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














