「生前、金の一つも都合してくれなかった」通夜で故人への不満を口にした男。喪主が静かに席から外した瞬間
通夜振る舞いの席で聞こえてきた言葉
祖母を見送る通夜の晩のことです。読経が終わったあと、親族は広間に残り、通夜振る舞いの席を囲んでいました。
祖母の思い出を話す人もいれば、黙って遺影を見つめている人もいます。
私も親戚の話を聞きながら、祖母と過ごした時間を思い返していました。
そんな中、少し離れた席から大きな声が聞こえてきました。
声の主は、遠縁にあたる男性でした。酒が進んでいたようで、顔を赤くしながら祖母への不満を話し始めたのです。
「生前、金の一つも都合してくれなかった」
周囲の会話が止まりました。
祖母は人の世話をよく焼く人でしたが、お金の貸し借りについてどんな考えを持っていたのか、私には分かりません。ただ、少なくとも故人を送るこの場で口にする話ではないように思えました。
年配の親戚が「今日はその話はやめましょう」と声をかけましたが、男性は「本当のことを言っているだけだ」と返し、まだ話を続けようとしました。
喪主の父が席を立った
そこで、喪主を務めていた父が立ち上がりました。
怒鳴ることも、男性の言い分を否定することもありませんでした。
「ここは故人を送る場です。続けるなら、外で話してください」
父がそう伝えると、男性は一度黙りました。それでも何か言おうとしたため、父はもう一度「こちらへ」と促しました。
周囲の親戚も止める様子はなく、男性はしぶしぶ席を立ちました。父はそのまま男性と一緒に広間を出ていきました。
何を話したのか、私は聞いていません。ただ、しばらくして父だけが広間へ戻ってきて、男性が再び席に戻ることはありませんでした。
静かな時間が戻ってきた
父は特に何も説明せず、自分の席へ戻りました。
広間には少し気まずい空気が残っていましたが、やがて誰かが祖母の昔の話を始めると、少しずつ会話が戻ってきました。
父もその輪に加わり、いつものように静かに話を聞いていました。
後になって思い返しても、父が男性を強く責めなかったことが印象に残っています。祖母を送る場をこれ以上荒らさないために、必要なことだけを伝えて席から外したのでしょう。
あの夜、最後まで穏やかに祖母を見送ることができたのは、父が感情的にならずに対応してくれたからだと思っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














