tend Editorial Team

2026.08.21(Fri)

「今日も聞こえる」耳をふさいでも気になる騒音。だが、管理会社の対応に救われた瞬間

「今日も聞こえる」耳をふさいでも気になる騒音。だが、管理会社の対応に救われた瞬間

一度目の電話では、何も変わらなかった

壁が薄い建物だということは、内見のときからうすうす分かっていた。それでも実際に暮らしてみると、想像していたより音はずっと近かった。隣の部屋で電子レンジが動く音や、水を使う音まで聞こえてくる。

隣人は帰宅時間が遅いようで、夜になると料理をしているらしい音が続いた。

ただ、生活していれば出る音でもある。気になりはしたものの、それだけなら仕方がないと思うようにしていた。

困ったのは、下の階から聞こえてくる歌声だった。

誰が歌っているのか、私は知らない。

けれど夜遅くなると、床の下からはっきり声が届く日があり、日付が変わるころまで続くこともあった。

「今日も聞こえる…」

布団の中でそうつぶやく夜が増えていった。

耳をふさいでも気になり、一度目が覚めるとなかなか眠れない。寝不足が続いたところで、私は管理会社に電話をした。

夜遅い時間に歌声が聞こえることと、建物全体に音が響きやすいことを伝えた。担当者は話を聞き、「確認して、対応を検討します」と答えた。

けれど、その後もしばらく状況は変わらなかった。夜になると同じように歌声が聞こえ、眠る時間を逃す日が何度も続いた。

二度目の相談で、全戸に注意文が配られた

そこで私は、もう一度管理会社へ電話をかけた。

「一度お伝えしたのですが、まだ夜遅くまで聞こえる日があります」

今度は、歌声が聞こえた日と時間帯を思い出せる範囲で伝えた。何時ごろ始まり、どのくらい続いたのか。担当者は確認しながら聞いてくれた。

そして最後に、こう言った。

「張り紙を、全戸のポストに入れます」

特定の部屋だけに注意するのではなく、夜間の生活音について建物全体へ知らせるという。その日の夕方、私のポストにも同じ注意文が入っていた。

内容は、夜遅い時間の音は周囲の部屋へ響くことがあるため、配慮してほしいという短いものだった。誰かを名指しする書き方ではなかったので、私は少し安心した。

その夜は、いつもより静かだった。翌日も、その次の日も、夜遅くまで続いていた歌声は聞こえなかった。

完全に無音になったわけではない。隣の部屋から水音や足音が聞こえることは変わらなかった。それでも、生活していれば出る音と、眠れなくなるほど続く音は違う。少なくとも、夜中に歌声で目を覚ますことはなくなった。

数日後、エントランスで会った住人が、ポストの近くで注意文を見ながら言った。

「最近、夜は少し静かになりましたね」

私も「そうですね」とだけ返した。誰が管理会社へ相談したのか、お互いに聞くことはなかった。

その夜、私は久しぶりに目覚ましが鳴るまで眠った。窓を開けても、いつもの歌声は聞こえない。静かな部屋で朝を迎えられるだけで、こんなに気持ちが違うのかと思った。

※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.08.21(Fri)

「うちも困ってたんです」騒音を注意するか黙るか悩み続けた私。だが、隣人から聞いた一言とは
tend Editorial Team

NEW 2026.08.21(Fri)

「朝早くにごめんなさいね」大雪の翌朝に訪ねてきた隣人。だが、伝えられた事実に困惑したワケ
tend Editorial Team

NEW 2026.08.21(Fri)

「買ったことに怒ってるわけじゃないんだよ」夫が買った高額の電子機器。だが、私が怒ってる本当の理由とは
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.04.28(Tue)

「母さんは毎日手作りだったぞ!」惣菜に文句を言う夫。数日後、意外な人物から大目玉を食らった
tend Editorial Team

2026.05.30(Sat)

麻生泰氏の「娘がアホ」投稿が波紋、巨人・阿部前監督の辞任劇から考える現代社会のAI依存と失われる思考力への危機感
tend Editorial Team

2026.01.20(Tue)

「俺、痩せるから!」と豪語する夫。だが、夫の購入したダイエット器具を見て、思わず苦笑い【短編小説】
tend Editorial Team