tend Editorial Team

2026.08.22(Sat)

「10時に伺います」取り置き済みでも予約を欠かさない常連客。学生時代の私が教えられたこと

「10時に伺います」取り置き済みでも予約を欠かさない常連客。学生時代の私が教えられたこと

毎週水曜に来る、いつものお客さん

学生時代にアルバイトをしていたパン屋には、今でも印象に残っているお客さんがいます。毎週水曜日の10時ごろ、決まって同じ食パンを買いに来る年配の女性でした。

選ぶのはいつも、朝いちばんに焼き上がる山型食パンを一斤。曜日も時間もほとんど変わらないため、店長も私たち店員もすっかり覚えていました。

水曜日の朝になると、焼き上がった食パンの中から一斤を取り分け、名前を書いた取り置きの札を添えておきます。

「あの方の分、今日も忘れないでね」

店長に言われるまでもなく、それはいつの間にか水曜朝の習慣になっていました。

ところが、その女性にはもうひとつ、毎週欠かさないことがありました。

取り置きすると知っていても、必ず電話をくれた

毎週火曜日になると、店に一本の電話がかかってきます。受話器の向こうから聞こえるのは、いつもの落ち着いた声でした。

「毎週水曜、10時に伺います。明日も一斤お願いします」

店では、電話がなくても翌朝には一斤を取り置くつもりでいました。

そのことは女性も知っています。

あるとき私が、「いつもの分はご用意しますので、お電話がなくても大丈夫ですよ」と伝えたことがありました。

すると女性は、「ありがとうございます。でも、行くと決めているなら、一応お伝えしておきたくて」と穏やかに答えました。

電話を切ったあと、私は先輩の店員に「毎週、本当に律儀ですよね」と話しました。

先輩も笑いながら、「こういうお客さんがいると、こっちも安心して準備できるよね」と言いました。

確かに、毎週来ると分かっているお客さんでも、急な予定で来られなくなることはあります。前日にひと言連絡をもらえるだけで、こちらも迷わず商品を確保しておけます。

当たり前のように続ける姿が印象に残った

そして水曜の10時ごろになると、女性はほぼ時間どおりに店へやって来ました。

私が取り置いていた食パンを渡すと、いつも「ありがとうございます」と丁寧に頭を下げます。

大げさなことをするわけではありません。電話一本を入れ、約束した時間に来て、受け取ったらお礼を言う。ただそれを毎週変わらず続けているだけです。

けれど学生だった私には、その姿が妙に新鮮でした。

相手が分かっているだろうからと省かず、自分からきちんと伝える。その小さな心遣いのおかげで、店側も安心して準備ができていました。

今でも水曜日になると、ときどきあの女性を思い出します。丁寧さとは特別なことではなく、こうした小さな行動を続けることなのかもしれないと、当時の私は教えてもらった気がしました。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.08.22(Sat)

「生前、金の一つも都合してくれなかった」通夜で故人への不満を口にした男。喪主が静かに席から外した瞬間
tend Editorial Team

NEW 2026.08.22(Sat)

「この番号、あんたにつながるの?」商品を見ずに連絡先ばかり気にする客。だが、我慢出来ずに正論をぶつけた結果
tend Editorial Team

NEW 2026.08.22(Sat)

「お弁当食べますね」美容室で食事を始めた客。だが、店長が正論をぶつけた結果
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.03.17(Tue)

「何がしたいのか分からない」「印象が良くない」と批判続出。松本人志が出演する高須クリニックCM第3弾が地上波で放送
tend Editorial Team

2026.04.11(Sat)

都心の家賃高騰で75歳独居女性が直面する居住選別、高齢者お断りの壁と社会に求められる支援の在り方
tend Editorial Team

2026.01.21(Wed)

「言うことに整合性はない」「本当に面倒な人」と辛辣な声も。蓮舫氏「政治を止める理由は、どこにあるのでしょうか」と高市首相...
tend Editorial Team