「うわ、すごい匂い。誰か何か食べてる?」新幹線で大声を出した女性。だが、近くの男性が返した一言
楽しそうな声が、数列前から聞こえてきた
地元へ帰る新幹線でのことです。夕方の便で、私が乗っていた車両にはまだ空席があり、静かに過ごしている人が多くいました。
途中の駅から、若い女性と父親らしい男性が乗ってきました。二人は楽しそうに話しながら通路を歩き、私より数列前の席に座ります。
ちょうどそのころ、車内には温かい食べ物の香りが漂っていました。
誰かが夕食でも食べているのだろうと思っていると、女性が突然、大きな声を上げました。
「うわ、すごい匂い。誰か何か食べてる?」
その声が想像以上に響き、近くにいた人たちが一瞬だけ顔を上げました。
私も香りには気づいていましたが、夕食どきですし、「おいしそうだな」と思っていたくらいです。
ただ、もし近くで食べている人がいたら、あれだけ大きな声で言われると気まずいだろうなと思いました。
女性自身も周囲の視線に気づいたのか、さっきまでより少し声を落としていました。
責めるでもなく返されたひと言
すると、通路をはさんだ席にいた男性が雑誌から顔を上げました。
「でも、こういうところで匂うと、お腹すきますね」
誰かを注意するような口調ではなく、本当にお腹がすいたというような、何気ない言い方でした。
女性は一瞬黙ったあと、父親のほうを見ます。
「…私、ちょっと声大きかったね」
父親も苦笑いしながら、小さな声で返しました。
「ちょっとな。聞こえちゃうよ」
女性は恥ずかしそうに笑い、それ以上、匂いについて何か言うことはありませんでした。
注意されたわけでも、誰かに強く責められたわけでもありません。それでも、男性の何気ないひと言で、自分の声が周りにどう聞こえたのか気づいたようでした。
その後、親子は先ほどより少し声を抑えながら、また楽しそうに話していました。車内もいつもの静けさに戻ります。
私は窓の外を眺めながら、「たしかに、お腹がすく匂いだったな」と、少しだけ口元がゆるみました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














