「無視しているの、悲しいな」1日に10件以上届く社内チャット。記録を残した男性に会社が取った対応とは
私的なメッセージが、社内チャットに届き始めた
三年前、別の部署にいた同僚と、社食で何度か昼休憩が重なったことがあった。
話したのは仕事のことや、その日の昼食についてくらい。最初は、話しやすい人だと思っていた。
違和感を覚えたのは、休日のことを聞かれたときだった。
「先週の日曜、最寄りの駅の改札にいましたよね」
「人違いですよ」
「そんなはずないです。ちゃんと見てますから」
私はどう返せばいいのか分からず、それ以上話を続けなかった。
その日から、できるだけ昼休憩が重ならないようにした。
ところが、その後は社内チャットに私的なメッセージが届くようになった。
連絡先を交換したことはないので、仕事で使っている社内の連絡手段から送ってきていた。
始業前、昼休み、退勤後。多い日は一日に十件を超えた。
返信を控えるようになると、こんなメッセージも届いた。
「無視しているの、悲しいな」
さらに返さずにいると、
「既読くらいつけられますよね」
「そんなに嫌なんですか、俺のこと」
と、こちらを責めるような内容も増えていった。
履歴を残して、上司に相談した
このまま自分だけで対応するのは難しいと思い、私はメッセージの履歴を保存することにした。
日付と時刻を整理し、一日に何件届いたかも記録した。多い日には二十件を超えていた。
それを異動願いと一緒に課長へ提出した。
「できれば席を離してほしいです。これが理由です」
課長は画面と記録を見比べながら、途中で手を止めた。
「これ、勤務時間外にも来ているのか」
「はい。ほぼ毎日です」
翌週には、社内の相談窓口から面談の連絡が来た。私はそれまでの経緯と、残していた記録を担当者に説明した。
その後、会社から相手に対し、社内チャットを私的な連絡に使わないことと、業務上必要のない接触を控えるよう伝えられたと聞いた。
通告の翌日、給湯室で偶然顔を合わせた。
相手は「あの」と言いかけたものの、そのまま口を閉じ、何も話さずに出ていった。
それ以降、私的なメッセージは届かなくなった。
異動が決まったのは、半年後だった
すぐに部署を移れるわけではなかったが、異動願いを出してから半年ほどして、別のフロアで働くことが決まった。
仕事中にその人と顔を合わせる機会も、ほとんどなくなった。
引き継ぎのため、一度だけ元のフロアへ戻ったことがある。相手は私に気づいたようだったが、席を立つことはなく、そのままパソコンの画面へ向き直った。
「もうこちらには来ないんですか」
後輩に聞かれ、私は「たぶん、ほとんど来ないと思う」と答えた。
連絡が止まったことも安心したが、それ以上に大きかったのは、記録を残して誰かに相談したことで、自分一人で対応しなくてもいい状況になったことだった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














