「食べ放題なんだから、取らなきゃ損だろう」料理を山盛りにする父親。店員に反論した直後、妻が放った一言
隣のテーブルに増えていく料理
旅先のホテルで夕食をとったときのことです。私はひとりでバイキング会場を訪れ、好きな料理を少しずつ皿に取って楽しんでいました。
そんなとき、隣のテーブルに座る家族連れが目に入りました。
父親と妻、男の子の3人です。
気になったのは、父親が何度も料理台へ向かっては、山盛りの皿を運んできていることでした。
「ほら、これも取ってきたぞ。どんどん食べろよ」
父親は満足そうに皿を置きます。しかし、テーブルにはまだ食べ終わっていない料理がたくさん並んでいました。
妻は困った顔で父親を見上げます。
「ねえ、もういいよ。まだこんなに残ってるじゃない」
「食べ放題なんだから、取らなきゃ損だろう」
父親は気にする様子もありません。
座る男の子も、おなかをさすりながら言いました。
「おなかいっぱい。もう食べられない」
ところが父親は「そうか」と返すでもなく、再び席を立ってしまいました。
次に戻ってきたときには、ケーキと湯気の立つ麺料理まで手にしています。
妻は何も言わず、目の前の皿を見つめていました。テーブルには、ほとんど手がつけられていない料理がいくつも残されています。
私も思わず、自分の箸を止めてしまいました。
店員への反論を止めた妻の一言
しばらくすると、若い女性の店員が隣のテーブルにやってきました。
並んだ料理に目を留めると、父親に向かって丁寧に声をかけます。
「恐れ入ります。お料理は、召し上がれる分だけお取りいただけますか」
すると父親は、むっとした表情になりました。
「えっ?食べ放題なんだろ?お金だって払ってるんだから、いいじゃないか」
思いがけず大きな声が響き、近くの席にいた人たちも顔を上げました。
店員は困った様子でしたが、父親は納得できないのか、まだ何か言いたそうにしています。
そのときです。
向かいに座っていた妻が大きくため息をつき、口を開きました。
「だから途中でもういいって言ったのに」
父親は妻の顔を見て、一瞬言葉を失いました。
すると、男の子も母親の袖を握りながら、小さな声で言いました。
「ぼくも、もういらないって言ったよ」
父親は何も言い返せませんでした。さっきまでの勢いが嘘のように、顔を赤くして黙りこんでしまったのです。
妻は店員に向き直り、頭を下げました。
「すみません。次から気をつけます」
店員が会釈して離れると、父親はようやく箸を手に取り、冷めかけた麺料理をすすり始めました。
食べ放題だからといって、たくさん取れば得をするわけではありません。
私は自分の皿に残っていた付け合わせを食べながら、家族が「もういらない」と言ったときに手を止めていれば、こんな気まずい思いをせずに済んだのに、と感じました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














