「結婚を前提に、一緒に暮らさない?」半同棲までしていた彼。だが、タブレットに残っていたやり取りに別れを決意
理想の半同棲
マッチングアプリで出会った彼は、優しくて清潔感があり、高収入を売りにする非の打ちどころのない人だった。
「結婚を前提に、一緒に暮らさない?」
「いいの?うれしい」
数ヶ月で半同棲が始まった。
彼は「独身だから安心して」と繰り返し、私を大切にしてくれた。
「来年あたり、両親にも会ってほしいな」
「もちろん。私のほうも、紹介したいよ」
休日はいつも私に合わせ、記念日も忘れない。何ひとつ、疑う理由がなかった。
点いた画面
ある朝、彼が置き忘れたタブレットの画面が、ふいに明るくなった。
そこに表示されていたのは、私ではない女性とのやり取りだった。
一件ではない。指でたどるほど、何十件も、複数の相手とのメッセージが連なっていく。
そして、文面の言葉に血の気が引いた。
「子供が熱でさ」
「妻が寝たら、また連絡するよ」
独身だと言い張っていた彼には、妻も子もいた。
しかも相手は、私のほかにも何人もいる。理想の彼は、二重も三重も嘘を重ねた別人だった。
(私、何人目だったんだろう)
足がすくんだ。でも、ここで取り乱したら、彼にうまく丸め込まれる。そんな予感がした。
暴いた夜
私は震える手を押さえ、まずやり取りの画面を一つずつ記録に残した。
相手の数、妻子の存在、日付。証拠を静かに保全してから、彼の帰りを待った。
記録しながら、何度も手が止まりそうになった。それでも、ここで取り乱して問い詰めれば、彼はきっと「仕事の連絡だ」と言い逃れる。完璧に見せかけてきた男なら、嘘もまた上手いはずだった。
夜、彼はいつもの笑顔で帰ってきた。
「ただいま。何か食べた?」
「タブレット、見えちゃった。奥さんも、お子さんもいるんだね」
彼の表情が、すっと抜け落ちた。
「待って、それは誤解だよ。仕事の付き合いで」
「仕事で、奥さんが寝たら連絡するって書くの?」
彼が、言葉に詰まった。
「ほかの女の人とも、何十件もやり取りしてたよね。全部、保存してある」
私が記録を突きつけると、彼の口が止まった。
何か言いかけては飲み込み、視線が床をさまよう。最後はその場に立ち尽くし、肩がわずかに震えていた。「独身だよ」と笑っていた顔は、もうどこにもなかった。
「……ごめん、本当に」
絞り出した謝罪に、私は首を振った。
「謝らなくていいです。ただ、もう関わりません」
荷物を手に玄関を出るまで、彼はうつむいたまま固まっていた。
完璧を装っていた男は、私を引き留める言葉ひとつ、持っていなかった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














