「やっぱり別れたい」1ヶ月で3回も別れたいと伝えてくる彼。だが、本当に別れようとすると
三度目の「別れたい」
その夜も、年下の彼から同じ連絡が届いた。
「やっぱり別れたい」
数えれば、ひと月で三度目だった。
つい先週まで「結婚しよう」と言っていた口で、また唐突にそう告げてくる。理由はいつも、はっきりしない。
付き合い始めた頃、彼の愛情表現は過剰なくらいだった。
「大好き」「次いつ会える」を一日に何度も送ってくる。
それが嬉しかったのは、最初のうちだけだ。
その甘い言葉と「別れたい」が、数日おきに入れ替わる。私はそのたびに「会って話そう」と伝え、彼の元へ向かった。
会えば、彼はまた笑顔に戻っているのだった。
縋りつく年下
三度目の「別れたい」に、私はもう揺れなかった。
「うん、分かった。別れよう」
あっさり受け入れると、今度は彼のほうが慌て出した。
「待って、本気にしないでよ。さみしくて言っただけで」
「さみしいって理由に、私はもう三回付き合ったよ」
「お願い、もう一回だけ」
「結婚しようって言ったのも、あなただったよね」
「それは……そのときは本当にそう思ったんだ」
「私はそのたびに本気で受け止めて、本気で傷ついてたの」
電話の向こうで、彼は泣きそうな声を出していた。
けれど不思議と、心は凪いだままだった。引き止められても、もう一歩も動かない自分がいた。
結婚をちらつかせては突き放す。突き放しては縋る。その繰り返しに振り回されていた自分を、私はようやく外側から眺められた気がした。
乗っていたのは、降りていいジェットコースターだったのだ。
海の向こうで吹っ切れた
その数日後、私は友人との卒業旅行で海外にいた。
学生でいられる最後の時間を、思いきり羽を伸ばすと決めていた。
潮風の中で笑い合い、夜遅くまで語り明かす。
彼の通知に怯える必要のない時間が、こんなにも広く穏やかだなんて、付き合っている間はすっかり忘れていた。
「あんた、別れてから別人みたいに元気だね」
友人の言葉に、思わず笑ってしまった。
「ずっと、誰かの機嫌をうかがってた気がする」
「うん。やっと、自分の機嫌を自分で取れる気がする」
旅先には、彼から「戻ってきてほしい」と何通も届いていた。
以前なら開いた瞬間に揺らいでいた言葉が、今はただの画面の文字にしか見えなかった。一通も返さず、私は通知をそっと消した。
(もう、私の時間を返してね)
帰国してからも、彼の連絡は数日おきに来た。けれど一度も会わなかったし、揺れもしなかった。
誰かの感情に振り回される側から降りて、自分の人生を自分のものに取り戻す。その大きな一歩を、あの海の青さがそっと後押ししてくれたのだった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














