【ホテル怪談】出張先で午前3時に1度だけ鳴った内線→フロントが告げた「こちらからは電話していません」
電話が一度だけ鳴って、ぷつりと切れた
数年前の地方出張で泊まった、駅近くのビジネスホテルでの話です。
その日は商談続きで疲れていて、夕食を軽く済ませて早々にチェックインを済ませました。
翌朝の予定もぎっしりだったので、シャワーを浴びてすぐ眠るつもりで部屋へ戻ったのを覚えています。
部屋は最上階に近い角部屋で、廊下にも他の客の気配が少ない静かな一角でした。
消灯後どれくらい経ったのか、ふと意識が浮かび上がってスマホを覗くと、画面には午前3時過ぎが表示されています。
廊下の物音もなく、空調の唸り声だけが低く響いていました。
その時、テーブルに置かれた電話が、たった一度だけ短く鳴って止まったのです。
深夜にフロントから直接かかってくる用件など思い当たらず、寝ぼけた頭で受話器を取ってしまいました。
受話器の向こうは無音でした。
「もしもし」と二度ほど呼びかけても返事はなく、五秒ほどしてふつりと回線が切れます。
悪寒のようなものが背筋を走り、フロントへ内線で問い合わせると、応対した男性スタッフがあっさり言いました。
「こちらからは電話していません」
客室同士の内線も他のお客様からつながる仕様ではないとの説明で、機械の不調なら点検しますとも添えられたのです。
結局その日は眠り直すことができず、明け方までデスクに座ってメールの返信を進めていた記憶があります。
翌朝、年配の女性スタッフが一瞬だけ視線を泳がせた
窓の外がうっすら白み始めても、廊下を歩く足音やドアの開け閉めは一度も聞こえてきません。
シャワーを浴びても疲れが抜けず、ぼんやりした頭のまま朝食を済ませてフロントへ向かいました。
チェックアウトの折、何気なく昨夜の出来事を持ち出すと、別の年配の女性スタッフが手を止めてこちらを見ます。
視線がほんの一瞬、ロビーの奥に泳いだのを今でもはっきりと覚えているのです。
少しの沈黙のあと、彼女は控えめにこう続けました。
「時々、同じ階のお客様から似た話を聞くことがあります」
具体的にどの階で、いつから続いているのかは、口元の笑みに紛れて結局教えてもらえません。
駅に向かう道すがら、あの夜の静まり返った部屋の空気が何度も思い出されたものです。
取引先の人にそのまま話したら、寝ぼけて間違い電話を取っただけだろうと一笑に付されました。そう言われればそうかもしれないと頭では納得しようとしたものの、あの数秒の沈黙の重さだけは説明がつきません。
その後、別件で出張のたび宿は別のチェーンを選ぶようになり、あの建物には足を運んでいません。
誰が、何の目的で鳴らした電話だったのか、今もはっきりとした答えは出ないままです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














