「うちは2万だから、お前も合わせろ」法事で甥の香典にケチをつけ続けた叔父。だが、母が一言で黙らせた瞬間
法事のあとの食卓で
福岡の実家に親族が集まり、法事を終えた食事の席も、終わりに近づいた頃のことでした。
畳の座敷に膳を並べ、みなでゆっくりと箸を進めていたのです。
私は末席で、親戚たちの昔話に相槌を打っていました。
あとは解散を待つばかりの、のどかな時間だと思っていました。
けれど、盃を重ねた叔父が、突然こちらを指さして声を張り上げたのです。
座敷の隅々まで届くその声に、みなが一斉に手を止めました。
「うちは2万だから、お前も合わせろ」
先日の法事で私が包んだ香典が、少なすぎるというのです。
楽しげだった話し声が、いっせいに途切れました。
叔父はなおも、みなの前で私の金額をあげつらいます。
私はただ相場に倣って、一万を包んだにすぎませんでした。
「いい歳して、みっともないと思わんのか」
執拗に絡む叔父の声に、親戚たちは気まずそうにうつむくばかり。
私は顔が熱くなり、言い返すこともできずにいました。
母が返した正論
重い沈黙が続くなか、母がすっと背筋を伸ばして、口を開きました。
「金額はそれぞれでいいでしょう」
たったそれだけを、母は穏やかに、けれどはっきりと言い切ったのです。
叔父は引き下がるどころか、いっそう声を荒らげました。
「親戚なら合わせるもんだ!」
それでも母は、静かなまなざしを崩しませんでした。
「そんな決まりなんてないわ。人それぞれの気持ちでしょう」
その言葉に、伯母や従兄たちも深くうなずきます。叔父ひとりに向けられる視線が、次第に冷たさを増していきました。
「もうその辺で、おしまいになさい」
母が低くそう告げると、座敷を張り詰めさせていた叔父の声が、ふっと途切れました。
誰も味方しないと悟ったのでしょう。赤かった顔から、得意げな色が抜けていきます。
「……わかったよ、もう言わん」
叔父はそう吐き捨てるように呟き、それきり盃に目を落として黙り込みました。あれほど大きかった声は、もうどこにも聞こえません。母はそんな弟には構わず、私にそっと笑いかけてくれたのでした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














