「昨日より小さいのに同じ値段?」パン屋で声を荒らげた男性。大きさの違うパンをめぐり、店長が最後に棚へ置いたもの
レジの前で大きくなっていった声
春先の土曜、住宅街の角にある小さなパン屋に寄りました。午前中の混む時間で、レジの前には5〜6人が並んでいました。
私の2人前にいた50代くらいの男性は、トレーに丸いパンを一つのせています。自分の番になると、パンを指さして店員に尋ねました。
「これ、昨日買ったのより小さくない?」
若い店員はパンを確認してから答えました。
「申し訳ありません。同じ量の生地を使っていますが、焼き上がりによって多少、形や大きさに差が出ることがあるんです」
「でも値段は同じなんだよね?」
「はい、同じです」
男性はパンを持ち上げ、少し不満そうな顔をしました。
「昨日のはもっと大きかったんだよ。同じ値段なら、なんか損した気になるな」
店員がもう一度頭を下げると、男性の声が大きくなりました。
「だったら、こういうのは書いとけよ。見ただけじゃ分からないだろ」
レジが止まり、後ろの列にも気まずい空気が流れます。
店長が受け止めたのは、男性の不満でした
声が聞こえたのか、厨房から店長が出てきました。
「お待たせして申し訳ありません。どうされましたか?」
男性はパンを見せながら言いました。
「昨日買ったのより小さいんですよ。でも値段は同じなんでしょう?」
店長はパンを確認して、落ち着いた声で答えました。
「はい。同じ量の生地で作っています。ただ、焼き上がりによって見た目の大きさに差が出ることがあります」
「だったら最初から書いておいてくれればいいんだよ」
「そうですね。分かりにくかったと思います。表示については見直します。申し訳ありませんでした」
男性は少し間を置いてから、「まあ、分かったよ」と言いました。
結局、パンはそのまま購入することにしたようです。男性は会計を済ませ、袋を受け取ると店を出ていきました。
列が落ち着いたあと、棚に増えた札
男性が出ていくと、止まっていた列が再び動き始めました。若い店員も次のお客さんに「お待たせしました」と声をかけ、いつもの接客に戻っていきます。
しばらくして混雑が落ち着いたころ、店長は小さな札を用意し、パンの棚の端に置きました。
そこには、「手作りのため、焼き上がりによって形や大きさに差があります」という内容が書かれていました。
男性の言い方には驚きましたが、確かに知らなければ、同じ値段なのに大きさが違うことを不思議に思う人もいるのでしょう。
だからといって、列を止めるほど声を荒らげる必要はありません。それでも店長が言い返すのではなく、分かりにくかった部分だけを受け止めて表示を加えたことで、その後は何事もなかったように店内がいつもの雰囲気へ戻っていきました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














