「仕事が合わない」と退職した夫が借金をしていた→預かっていた姉のゲーム機まで売った事実に笑えなかった瞬間
二日で辞めた職場と督促状の山
結婚十年を過ぎたころ、夫が新しい職場をまた二日で辞めた。
前職を辞めてから半月、面接で受かったばかりの倉庫の仕事だった。退職の理由はいつもひとつしかない。
「仕事が合わない」
合わないと言って辞めた職場は、私が把握しているだけでも片手の指では足りない。長く続いて七年、短いと二日。
短期で辞める月ほど、玄関の郵便受けには見覚えのない封筒が増えていく。
差出人はどれも知らない消費者金融だった。封を切ると、私の知らない借入額と、夫の名前だけが並んでいた。
最新の一通は六十万円。前月の通知はまだ二十万円台だったのに、たった一ヶ月で額が三倍近くまで跳ね上がっていた。
夫を問い詰めても、最初は通帳を見せたがらない。経理に確認の電話を入れた日、夫が給料をほぼ全額前借りしていた月があることもあった。
一ヶ月、家のお金が一円も振り込まれなかった月の正体だった。
電話越しの担当者が「以前から何度かご相談がありまして」と申し訳なさそうに言ったとき、自分だけが家の財布を把握できていなかった事実が突きつけられた。
姉が預けたゲーム機が消えた朝
家から物が消えるのは今に始まった話ではない。
子どもの携帯ゲーム機、私のタブレット、夫の同僚から借りた漫画一式まで、家の棚はじわじわと隙間が広がっていた。
私が気づくたびに、夫は修理に出しただの貸しただのと辻褄合わせをして、しばらく口先だけで時間を稼いでいた。
決定的だったのは、姉が長期の海外赴任前に預けていったゲーム機の本体とソフトまでなくなった朝のことだった。
姉に頼まれて動作確認していた箱が、棚から丸ごと消えていた。夫を問い詰めると、目を泳がせたまま、低い声で言った。
「自由になりたい」
答えになっていなかった。借金も転売も、家族の物を売って遊んだことも、自由のひとことで片付けられている。
背筋がぞくりとした。その夜、夫は書き置きを残して家を出ていった。三日後、何事もなかったように帰ってきて、寂しかった、と笑った。
翌週には新しい職場が決まり、また二日後には合わなかったと言い出した。私は姉に電話で謝りながら、夫の机の引き出しに増えていく真新しい督促状の束を眺めている。
家出の周期も借金の額も、季節ごとに少しずつ短く、重くなっていく。同じ顔で帰ってくる夫の隣で笑える日が来るのか、もう想像もできない。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














