デートで「今日は俺が出す」と言っていた彼。だが、会計時の発言に思わず唖然
出すと言い出したのは彼のほうだった
その夜は、彼と食事に行く約束をしていた。改札で待ち合わせて店へ向かっている途中、彼がふと思い出したように言った。
「あ、今日は俺が出すよ」
「え、ほんと?じゃあ今日は甘えようかな」
「うん。たまにはね」
そうは言ったものの、私はもともと自分の分を払うつもりでいた。どちらが払うかで気を使い合うのが、あまり好きではなかったからだ。
店に入り、彼は私より少し値の張る料理を注文した。私は以前から気になっていた軽めのものを一つ選んだ。
食事中は仕事の話や最近あった出来事で盛り上がり、雰囲気は悪くなかった。
「最近、仕事どう?」
「それがさ、ちょっと大変で」
「この前言ってたやつ?」
「そう。それがまだ終わらなくてさ」
そんな話をしながら、二人で何度も笑った。
だからこそ、会計になったときの彼の一言に、一瞬反応できなかった。
伝票を持ってレジへ行った彼が、表示された金額を見ながら言った。
「じゃあ、きっちり半分でいいよね?」
私は財布を持ったまま彼を見る。
返事をしなかった私に、彼が少し不思議そうな顔をした。
「……きっちり半分でいいよね?」
「え、うん……」
払うことが嫌だったわけではない。それよりも、店に来る前に彼自身が言った「今日は俺が出す」という言葉が、すっかりなくなっていることのほうが気になった。
引っかかったのは金額ではなかった
このまま黙って払うこともできた。でも、あとでモヤモヤする気がして、私は小さな声で聞いた。
「ねえ、さっき…今日は出すって言ってなかった?」
彼は私を見て、数秒固まった。
「あ…言ったわ」
「忘れてた?」
「うん。ごめん、普通に忘れてた」
あまりに素直に言われて、怒る気持ちは少し薄れた。
「別に、おごってほしくて言ってるんじゃないよ。最初から自分の分は出すつもりだったし」
「うん」
「ただ、言ったことが途中で変わるなら、一言ほしいなって思った」
彼は気まずそうに財布へ目を落とした。
「それはそうだね。ごめん。じゃあ今日は俺が出すよ」
「いや、今日はいいよ。私の分は出す」
「でも、それじゃ……」
「本当に大丈夫。次から覚えててくれれば」
結局、彼が自分の頼んだ分を含めて多めに払い、私は残りを出した。
店を出て少し歩いたところで、彼がぽつりと言った。
「次から、途中で変わったらちゃんと言う」
「うん。それでいいよ」
「というか、最初から適当なこと言わないようにする」
「それが一番かもね」
二人で顔を見合わせて笑った。
それ以来、彼が「今日は俺が出す」と言った日は、そのまま払ってくれるようになった。
私が引っかかっていたのは金額ではなく、一度口にしたことが何の説明もなく変わってしまうことだったのだと思う。あのとき黙って終わらせず、ひと言伝えてよかった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














